イベリア半島地中海沿岸のネアンデルタール人の食性
今日はもう1本掲載します。ネアンデルタール人の食性について、2014年度アメリカ自然人類学会総会(関連記事)で報告されました(García et al., 2014)。この報告の要約PDFファイルで読めます(P227)。イベリア半島の地中海沿岸は温暖な気候のため、寒冷期のヨーロッパにおいては退避所となり得ました。また、この地域は山がちな地形のため、環境が多様であることも特徴となっています。そのため、イベリア半島の地中海沿岸の動植物相は多様です。
この報告では、イベリア半島の地中海沿岸のネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)の食性が分析されています。多様な環境・動植物相であることから、この地域のネアンデルタール人の食性は、中央ヨーロッパのネアンデルタール人と比較して多様であることが予想されます。しかし、動物考古学・安定同位体分析・植物の微細な痕跡の研究などからは、イベリア半島の地中海沿岸のネアンデルタール人の食性が、大型・小型の動物に偏っており、植物資源はある程度重要ではあるものの、水産資源は滅多に消費されないという、中央ヨーロッパのネアンデルタール人のそれと変わらないものだったことが明らかになったそうです。
ネアンデルタール人は現生人類(ホモ=サピエンス)と比較してがっしりとした体格をしており、おそらく必要とするカロリーも現生人類よりも多かっただろう、と推測されます。その意味では、農耕開始前の社会において、ネアンデルタール人が肉食に大きく依存していた可能性は高いでしょう。ただ、これも年代やさらに細分化した地域単位で見ていくと、かなり異なった可能性もあるのではないか、と思います。食資源に関してネアンデルタール人の生存戦略が柔軟性を欠いていたとしたら、ネアンデルタール人がヨーロッパにおいて10万年以上生存することは難しかったでしょう。
参考文献:
García DCS. et al.(2014): Neanderthal diet and the patchy environments of Mediterranean Iberia. The 83th Annual Meeting of the AAPA.
この報告では、イベリア半島の地中海沿岸のネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)の食性が分析されています。多様な環境・動植物相であることから、この地域のネアンデルタール人の食性は、中央ヨーロッパのネアンデルタール人と比較して多様であることが予想されます。しかし、動物考古学・安定同位体分析・植物の微細な痕跡の研究などからは、イベリア半島の地中海沿岸のネアンデルタール人の食性が、大型・小型の動物に偏っており、植物資源はある程度重要ではあるものの、水産資源は滅多に消費されないという、中央ヨーロッパのネアンデルタール人のそれと変わらないものだったことが明らかになったそうです。
ネアンデルタール人は現生人類(ホモ=サピエンス)と比較してがっしりとした体格をしており、おそらく必要とするカロリーも現生人類よりも多かっただろう、と推測されます。その意味では、農耕開始前の社会において、ネアンデルタール人が肉食に大きく依存していた可能性は高いでしょう。ただ、これも年代やさらに細分化した地域単位で見ていくと、かなり異なった可能性もあるのではないか、と思います。食資源に関してネアンデルタール人の生存戦略が柔軟性を欠いていたとしたら、ネアンデルタール人がヨーロッパにおいて10万年以上生存することは難しかったでしょう。
参考文献:
García DCS. et al.(2014): Neanderthal diet and the patchy environments of Mediterranean Iberia. The 83th Annual Meeting of the AAPA.
この記事へのコメント
今TVで競馬中継を観ておりますが、私にはパドックでゴールドシップがよく見えます。次のエントリがブログ主様の狂喜乱舞されている文章になることを期待しております。
結果は残念でしたが、昨年ほどは落ち込んでいません。出遅れた時点で負けは覚悟しましたが、やはり高速馬場だと一線級に少し足りないようです。
申し訳ありません。
ゴールドシップが勝っていればブログの記事を書くつもりだったのですが、とても書く気力が湧きませんでした。昨年のように宝塚記念での巻き返しに期待しています。