人間の腸内微生物叢は食餌によって迅速に変化する

 人間の腸内微生物叢と食餌による迅速な変化についての研究(David et al., 2014)が公表されました。腸内細菌叢によっても消化効率が違ってくるので、同じ食餌内容でも個人により摂取カロリーが異なってくる、ということを以前このブログでも取り上げました(関連記事)。この研究によると、人間の腸内微生物叢は食餌によって迅速に変化し、代謝機能のパターンも変わるそうです。これは、治療や体質改善にも大いに役立ちそうな研究となりそうです。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。

微生物学:食餌は、ヒトの腸内微生物叢を迅速に高い再現性をもって変化させる
微生物学:腸内微生物叢は食餌によって迅速に変化する
 食餌は長期的には腸内微生物叢の構成や機能に影響を及ぼすが、短期的な食餌変化によって微生物叢にどの程度速やかに影響が出るかは、はっきり分かっていなかった。P Turnbaughたちは、完全に動物性食品あるいは植物性食品だけからなる食餌に移行すると、ヒトの腸内微生物叢の構成と機能にどのような影響が出るかを調べた。微生物叢は1日も経たないうちに速やかに変化し、それまでに見られた個体間の微生物叢の差はなくなって、肉食性哺乳類あるいは草食性哺乳類に特有の微生物叢の構成と代謝機能のパターンが再現されることが明らかになった。動物性食品からなる食餌では胆汁耐性を持つ微生物の比率が高くなり、その中には炎症性腸疾患との関連が指摘されている細菌Bilophila wadsworthiaも含まれていた。また、遠位腸管でも、食物由来の真菌、細菌、ウイルスが完全な形で検出された。



参考文献:
David LA. et al.(2014): The projected timing of climate departure from recent variability. Nature, 505, 7484, 559–563.
http://dx.doi.org/10.1038/nature12820

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