種によって異なる老化

 生物の老化についての研究(Jones et al., 2014)が公表されました。種によって老化の在り様が異なるだろうということは、鮭や昆虫などの事例からも、私も含めて多くの非専門家にも直感的に理解しやすいでしょう。ただ、生物すべてが対象となるわけですし、人間のように世代の長い生物種もいますから、それを実証して理論化することには、長い時間を要するのではないか、と思います。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。

老化:生命系統樹全体にわたって見られる老化の多様性
老化:老化の仕方は種によってさまざま
老化には生殖能力の低下と死亡率の上昇が伴うと通常考えられている。しかし、O Jonesたちがさまざまな動植物の生活史パターンを広く調べた今回の結果によれば、そのような考え方は視野が狭いものだといえるかもしれない。寿命の短い種でも長い種でも、加齢に伴う死亡率および繁殖率の変動は極めて多様で、全ての種に当てはまるような画一的パターンは存在しないことが明らかになったのである。老化と死亡率と繁殖の関係は明らかに複雑であり、概要を把握するには今後さらなる研究が必要である。理論研究では、老化の多様性をさらに的確に捉えることのできるモデルの開発が求められ、実験研究では、さらに多様な種を対象にして解析を行うことが有用だと考えられる。



参考文献:
Jones OR. et al.(2014): The complete genome sequence of a Neanderthal from the Altai Mountains. Nature, 505, 7482, 169–173.
http://dx.doi.org/10.1038/nature12789

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック