過去の気候変動の範囲を超える温暖化が最初に起きるのは熱帯地域

　温暖化の予測とその影響についての研究（Mora et al., 2013）が公表されました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。人為的要因による地球温暖化については、現代科学の苦手な多くの要因の考慮と長期の観察を要するため、どの程度気温が上昇するのか、その影響はどの程度なのか、また地域ごとにどれだけ影響が異なってくるのか、正確な予測が難しいことは否定できないでしょう。この研究では、現在進行中の地球温暖化が過去の気候変動の範囲を超える最初の時期は21世紀中期～後期で、それが最初に起きるのは、過去の気候変動が小さく、生物多様性が最も高い熱帯だ、と予測されています。さらにこの研究では、気候変動の生物学的な影響に急速に適応するための負担が最も大きくなるのは、熱帯にあって経済的な困難を抱えていることの多い地域となる可能性が示唆されています。

気候: 近年の変動性から気候が逸脱する時機の予測
気候：最初に気候変動の災難を被るのは熱帯である
温暖化の予測は今や、気候モデリングを行う際に絶対に外せない項目である。C Moraたちは、こうしたシミュレーションのアンサンブルを用いて、現在進行中の温暖化が、過去の気候変動の範囲を超える時期を見積もっている。温室効果ガスの将来の排出量をどう推定するかにもよるが、これは21世紀の中期から後期の頃に起こると予想される。この画期的な出来事は、過去の気候変動が小さく、生物多様性が最も高い熱帯で最初に起こる。この新たな予測は、気候変動の生物学的な影響に急速に適応するための負担が最も大きくなるのは、熱帯にあって経済的な困難を抱えていることの多い地域となる可能性を示唆している。


参考文献：
Mora C. et al.(2013): The projected timing of climate departure from recent variability. Nature, 502, 7470, 183–187.
http://dx.doi.org/10.1038/nature12540