凱旋門賞展望
いよいよ明日、凱旋門賞が行なわれます。今年は、日本から5歳馬のオルフェーヴルと3歳馬のキズナが出走し、両馬共に前哨戦を勝っています。昨年も前哨戦のフォワ賞を勝ち、本番の凱旋門賞でも惜しい2着だったオルフェーヴルは、すでに能力とロンシャンでの適性を示していたので、前哨戦の前から大いに期待していましたが、まだ大レースは日本ダービーしか勝っていないキズナも、海外初戦でヨーロッパの有力3歳馬に勝ったのには驚きました。オルフェーヴル・キズナともに勝ち負けになりそうなので、今年は日本馬初の凱旋門賞勝ちに大いに期待しています。
ただ、凱旋門賞がヨーロッパの選手権距離の最強馬決定戦となって以降で、珍しいくらい低水準のレースだったと思われる昨年と比較すると、今年はなかなかの水準の出走馬構成になっているように思われます。とくに3歳勢は、稀に見る低水準だった昨年と比較すると、かなり強力なようです。3歳で最有力なのは牝馬のトレヴで、斤量に恵まれていますから、完勝する可能性もあると思います。ただ、牡馬一線級との対戦経験がないのは気がかりです。
前哨戦のニエル賞で僅差の2着だったイギリスダービー馬のルーラーオブザワールドも要注意で、6番枠だけに、内からしぶとく伸びてくるかもしれません。ただ、トレヴとは異なり、この相手に完勝するだけの未知の魅力はないように思います。5番枠のリーディングライトも要注意で、まだイギリスオークス馬を倒してセントレジャーを勝ったばかりですが、底を見せていないのが不気味です。こちらも内からしぶとく伸びてくるかもしれませんが、ルーラーオブザワールドと同じく、この相手に完勝するだけの未知の魅力はないように思います。
9月初頭の時点で凱旋門賞の前売りで1番人気だったパリ大賞典勝ち馬のフリントシャーは、前哨戦のニエル賞で4着に負けたことから人気を落としているようですが、さほど着差をつけられたわけではありませんし、何よりも前哨戦でしたから、まだ軽視はできないでしょう。フランスダービー馬のアンテロも上位争いに加わってくるとみられているようですが、確かに鞍上は怖いものの、他の有力3歳馬と比較すると、選手権距離では一枚落ちるように思います。
凱旋門賞では、過去20年で3歳馬が15勝しており、斤量に恵まれている3歳馬が圧倒的に有利となっています。もちろん、故障・体調不良という理由以外で有力牡馬が3歳で引退することはまずあり得ない日本とは異なり、ヨーロッパでは実績を残した牡馬が3歳で引退することも珍しくない、という事情もあろうとは思いますが、3歳馬が有利であることは否めません。その意味で、キズナも含めて3歳勢に有力馬がそろった今年は、3歳勢で上位を独占するとまではいかなくても、どれかが勝ちそうな気がします。
そのキズナは、あまり器用ではなさそうですし、一瞬の鋭い脚はなさそうなだけに、内を進んで最後の直線で内から馬群をさばいて抜け出す、というレースの進め方は難しいかもしれません。何よりも、鞍上が凱旋門賞で騎乗するようなヨーロッパの一流騎手と比較すると明らかに見劣りしますから、外に出して追い込んでくるしかないだろう、と思います。キズナが勝つためには、最後の直線に入るまでになるべく外を走らないことが重要になってくるでしょう。キズナの状態については色々と噂されているようですが、ニエル賞の時よりもはるかに上回っていることを期待しています。
3勢が強力とはいっても、古馬にもオルフェーヴルとノヴェリストという強力な2頭がおり、どちらかが圧勝してもまったく不思議ではありません。オルフェーヴルの不安点は気性難なのですが、調教と前哨戦を見た限りでは、それはかなり解消されているように思います。やはり最大の不安点は、人気を背負う非ヨーロッパ馬ということでマークがきつくなりそうだ、ということです。勝負所で前を塞がれてしまうのではないか、と私は懸念しているのですが、そこはスミヨン騎手の手腕に期待したいところです。
ノヴェリストの不安点は、状態のピークがキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスで、その頃と比較するとやや調子落ちかもしれない、ということなのですが、これは走ってみないと分からず、杞憂に終わるかもしれません。古馬ではアルカジームも要注意ですが、どうも調子落ちのようですし、大外枠に入ったので軽視してよさそうに思います。
まとめると、3歳馬ではトレヴ>>ルーラーオブザワールド>キズナ>リーディングライト≧フリントシャー>>アンテロの順に期待できそうで、古馬ではオルフェーヴル≧ノヴェリスト>>>アルカジームの順に期待できそうです。3歳馬と古馬との力関係の把握が難しいところですが、いかにオルフェーヴルとノヴェリストが強いとはいえ、斤量面では3歳馬が圧倒的に有利なだけに、これだけ3歳勢に有力馬がそろうと、トレヴが凡走したり期待されたほどの能力がなかったりしても、他の3歳馬が勝ちそうな気がします。それがキズナであればよいのですが、なかなかそう上手くいかないだろうな、とやや弱気にもなっています。
ただ、3歳馬で完勝する可能性があるとしたらトレヴだけだと思います。古馬では、上述したようにオルフェーヴルとノヴェリストに完勝の可能性があると思います。トレヴ以外の3歳馬は勝つとしても辛勝で、トレヴとキズナ以外の3歳馬が勝つとしたら、凱旋門賞の勝ちパターンである、ずっと内を進んで直線でも上手く内から抜け出した場合に限られるのではないか、と思います。
ファンも含めて、日本の競馬界は凱旋門賞の呪縛に囚われており、それが海外遠征に積極的で有力なステイヤーを抱えている陣営の選択肢を狭めているように思います。一度日本馬が凱旋門賞を勝てば、そうした呪縛も解けるでしょうから、各陣営もそれぞれの馬に合った路線を選択するようになるのではないか、と思います。その意味でも、明日の凱旋門賞でオルフェーヴルかキズナのどちらかが勝つことを強く願っています。まあ、私の感情としてはオルフェーヴルの方に期待しているのですが、キズナが勝ったとしても、喜ぶことには変わりません。
また、同じく明日行われる京都大賞典に出走するゴールドシップのこともたいへん気になります。多少雨が降るかもしれないにしても、苦手と言われている高速馬場になりそうなので、相手が楽とはいえ不安が残ります。ゴールドシップはヨーロッパの本格的な力の競馬に向いていると思いますので、この後国内では全勝し、来年は現役最強馬として堂々とヨーロッパの大レースに出走してもらいたいものです。とはいっても、馬主・調教師にヨーロッパ遠征の経験とヨーロッパの競馬界とのコネが欠けているようなので、やはりヨーロッパ遠征は難しいのかな、とも思います。もっとも、ゴールドシップの社台グループでの種牡馬入りが内定しているのであれば、海外遠征にさいして社台グループの支援が受けられるかもしれませんが。
ただ、凱旋門賞がヨーロッパの選手権距離の最強馬決定戦となって以降で、珍しいくらい低水準のレースだったと思われる昨年と比較すると、今年はなかなかの水準の出走馬構成になっているように思われます。とくに3歳勢は、稀に見る低水準だった昨年と比較すると、かなり強力なようです。3歳で最有力なのは牝馬のトレヴで、斤量に恵まれていますから、完勝する可能性もあると思います。ただ、牡馬一線級との対戦経験がないのは気がかりです。
前哨戦のニエル賞で僅差の2着だったイギリスダービー馬のルーラーオブザワールドも要注意で、6番枠だけに、内からしぶとく伸びてくるかもしれません。ただ、トレヴとは異なり、この相手に完勝するだけの未知の魅力はないように思います。5番枠のリーディングライトも要注意で、まだイギリスオークス馬を倒してセントレジャーを勝ったばかりですが、底を見せていないのが不気味です。こちらも内からしぶとく伸びてくるかもしれませんが、ルーラーオブザワールドと同じく、この相手に完勝するだけの未知の魅力はないように思います。
9月初頭の時点で凱旋門賞の前売りで1番人気だったパリ大賞典勝ち馬のフリントシャーは、前哨戦のニエル賞で4着に負けたことから人気を落としているようですが、さほど着差をつけられたわけではありませんし、何よりも前哨戦でしたから、まだ軽視はできないでしょう。フランスダービー馬のアンテロも上位争いに加わってくるとみられているようですが、確かに鞍上は怖いものの、他の有力3歳馬と比較すると、選手権距離では一枚落ちるように思います。
凱旋門賞では、過去20年で3歳馬が15勝しており、斤量に恵まれている3歳馬が圧倒的に有利となっています。もちろん、故障・体調不良という理由以外で有力牡馬が3歳で引退することはまずあり得ない日本とは異なり、ヨーロッパでは実績を残した牡馬が3歳で引退することも珍しくない、という事情もあろうとは思いますが、3歳馬が有利であることは否めません。その意味で、キズナも含めて3歳勢に有力馬がそろった今年は、3歳勢で上位を独占するとまではいかなくても、どれかが勝ちそうな気がします。
そのキズナは、あまり器用ではなさそうですし、一瞬の鋭い脚はなさそうなだけに、内を進んで最後の直線で内から馬群をさばいて抜け出す、というレースの進め方は難しいかもしれません。何よりも、鞍上が凱旋門賞で騎乗するようなヨーロッパの一流騎手と比較すると明らかに見劣りしますから、外に出して追い込んでくるしかないだろう、と思います。キズナが勝つためには、最後の直線に入るまでになるべく外を走らないことが重要になってくるでしょう。キズナの状態については色々と噂されているようですが、ニエル賞の時よりもはるかに上回っていることを期待しています。
3勢が強力とはいっても、古馬にもオルフェーヴルとノヴェリストという強力な2頭がおり、どちらかが圧勝してもまったく不思議ではありません。オルフェーヴルの不安点は気性難なのですが、調教と前哨戦を見た限りでは、それはかなり解消されているように思います。やはり最大の不安点は、人気を背負う非ヨーロッパ馬ということでマークがきつくなりそうだ、ということです。勝負所で前を塞がれてしまうのではないか、と私は懸念しているのですが、そこはスミヨン騎手の手腕に期待したいところです。
ノヴェリストの不安点は、状態のピークがキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスで、その頃と比較するとやや調子落ちかもしれない、ということなのですが、これは走ってみないと分からず、杞憂に終わるかもしれません。古馬ではアルカジームも要注意ですが、どうも調子落ちのようですし、大外枠に入ったので軽視してよさそうに思います。
まとめると、3歳馬ではトレヴ>>ルーラーオブザワールド>キズナ>リーディングライト≧フリントシャー>>アンテロの順に期待できそうで、古馬ではオルフェーヴル≧ノヴェリスト>>>アルカジームの順に期待できそうです。3歳馬と古馬との力関係の把握が難しいところですが、いかにオルフェーヴルとノヴェリストが強いとはいえ、斤量面では3歳馬が圧倒的に有利なだけに、これだけ3歳勢に有力馬がそろうと、トレヴが凡走したり期待されたほどの能力がなかったりしても、他の3歳馬が勝ちそうな気がします。それがキズナであればよいのですが、なかなかそう上手くいかないだろうな、とやや弱気にもなっています。
ただ、3歳馬で完勝する可能性があるとしたらトレヴだけだと思います。古馬では、上述したようにオルフェーヴルとノヴェリストに完勝の可能性があると思います。トレヴ以外の3歳馬は勝つとしても辛勝で、トレヴとキズナ以外の3歳馬が勝つとしたら、凱旋門賞の勝ちパターンである、ずっと内を進んで直線でも上手く内から抜け出した場合に限られるのではないか、と思います。
ファンも含めて、日本の競馬界は凱旋門賞の呪縛に囚われており、それが海外遠征に積極的で有力なステイヤーを抱えている陣営の選択肢を狭めているように思います。一度日本馬が凱旋門賞を勝てば、そうした呪縛も解けるでしょうから、各陣営もそれぞれの馬に合った路線を選択するようになるのではないか、と思います。その意味でも、明日の凱旋門賞でオルフェーヴルかキズナのどちらかが勝つことを強く願っています。まあ、私の感情としてはオルフェーヴルの方に期待しているのですが、キズナが勝ったとしても、喜ぶことには変わりません。
また、同じく明日行われる京都大賞典に出走するゴールドシップのこともたいへん気になります。多少雨が降るかもしれないにしても、苦手と言われている高速馬場になりそうなので、相手が楽とはいえ不安が残ります。ゴールドシップはヨーロッパの本格的な力の競馬に向いていると思いますので、この後国内では全勝し、来年は現役最強馬として堂々とヨーロッパの大レースに出走してもらいたいものです。とはいっても、馬主・調教師にヨーロッパ遠征の経験とヨーロッパの競馬界とのコネが欠けているようなので、やはりヨーロッパ遠征は難しいのかな、とも思います。もっとも、ゴールドシップの社台グループでの種牡馬入りが内定しているのであれば、海外遠征にさいして社台グループの支援が受けられるかもしれませんが。
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