『週刊新発見!日本の歴史』第18号「平安時代6 平氏政権の可能性」

 まだ日付は変わっていないのですが、10月23日分の記事として掲載しておきます。この第18号は、鳥羽院政末期の後白河の即位から平清盛の死までを対象としています。主要な論考というか概説の執筆者は元木泰雄氏で、元木氏の著書・論考をいくつか読んできたので、私にとっては違和感のない解説でした。毎号薄いので、かなり省略された概説となっていましたが、詳しく知りたい場合は元木氏の著書を読めばよいでしょう。このブログで取り上げた元木氏の著書は、以下の通りです。
『保元・平治の乱を読みなおす』
https://sicambre.seesaa.net/article/200611article_21.html
『河内源氏』
https://sicambre.seesaa.net/article/201110article_18.html
『平清盛と後白河院』
https://sicambre.seesaa.net/article/201205article_18.html
『敗者の日本史5 治承・寿永の内乱と平氏』
https://sicambre.seesaa.net/article/201307article_11.html

 この第18号の特徴は、20世紀後半における武士見直し論も含めての中世史の見直しの成果(古代的な貴族を新時代の中世的な武士が乗り越えていく、という伝統的史観の克服)を積極的に発信していることと、文化面への言及が多めだということです。元木氏の論考以外にも、武士見直し論に基づいて武士の広範な人脈に言及した論考や、奥州藤原氏についての論考など、読みごたえのある論考がそろっており、この第18号も充実した内容になっていると思います。

 中世史の見直しが歴史教科書にどのように反映されているかという論考(「ここまで変わった日本史教科書」は毎号掲載の連載です)では、昨年の大河ドラマ『平清盛』が、中世の社会的枠組みをあまりにも無視しすぎていたとして、厳しく批判されています。また、『平清盛』の根底にある歴史認識は、天皇・貴族の世から武士の世へという単純明快な枠組みを脱しきれておらず、義務教育の教科書の水準にとどまっており、高校教科書の水準に達していない、と厳しく批判されています。『平清盛』と歴史学の問題については、私も少し述べたことがありますが、
https://sicambre.seesaa.net/article/201301article_21.html
初回から最終回まで『平清盛』を楽しんで視聴し続けた私でさえ、「研究者からの評判は芳しくなかった」というこの第18号の認識は妥当だろうな、と思うくらいです。数十年後にも大河ドラマが続いているのか分かりませんが、いつかもう一度平清盛を題材にした大河ドラマを作ってもらいたいものです。

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