顎の発達についての研究

 これは10月14日分の記事として掲載しておきます。顎の発達についての研究(Zhu et al., 2013)が公表されました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用で、脊椎動物の進化における重要な出来事である顎の発達について報告されています。この研究で明らかにされているのは、サメや硬骨魚などの現生有顎脊椎動物が、板皮類として知られる有顎の甲冑魚類群から出現した段階です。板皮類の多くの顎は、現生有顎脊椎動物のそれとは大きく異なっていましたが、この研究で報告された板皮類のEntelognathusは、全身が甲冑で覆われているものの、現生硬骨魚のものに類似した顎骨を持っています。この化石魚類は、顔として認識できるような形態を持つ、知られるうちで最も原始的な動物ということになるそうです。

古生物学: 硬骨魚類様の辺縁顎骨を持つシルル紀の板皮類
古生物学:脊椎動物の「顔」の進化ブックマーク
 顎の発達は脊椎動物の進化における重要な出来事である。しかし、有顎脊椎動物と無顎脊椎動物の形態の隔たりが極めて大きいため、顎の進化で起こった個々の段階を明らかにすることは難しい。この解明には化石記録が有用となり得る。今回M Zhuたちは、顎ができる過程の完了に近い段階を明らかにした。これは、サメや硬骨魚などの現生有顎脊椎動物が、板皮類として知られる有顎の甲冑魚類群から出現した段階である。板皮類の多くの顎は、現生有顎脊椎動物のそれとは大きく異なっていた。しかし、今回報告された板皮類のEntelognathusは、全身が甲冑で覆われているが、現生硬骨魚のものに類似した顎骨を持っている。この化石魚類は、我々が顔として認識できるような形態を持つ、知られるうちで最も原始的な動物である。



参考文献:
Zhu M. et al.(2013): A Silurian placoderm with osteichthyan-like marginal jaw bones. Nature, 502, 7470, 188–193.
http://dx.doi.org/10.1038/nature12617

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