2020年の夏季オリンピック開催地は東京

 まだ日付は変わっていないのですが、9月9日分の記事として掲載しておきます。東京・イスタンブール・マドリードの3都市の争いとなった2020年の夏季五輪開催地は、東京と決まりました。1回目の投票は東京42票・イスタンブール26票・マドリード26票で、イスタンブールとマドリードの2位決定戦となり、イスタンブール49票・マドリード45票でマドリードが脱落しました。決選投票は東京60票・イスタンブール36票で東京に決定しました。

 東京は福島第一原発の汚染水、イスタンブールは隣国のシリア情勢と国内のデモと薬物違反、マドリードは財政と、それぞれに大きな問題を抱えており、開催能力とシリア情勢・国内デモの問題のためもあってかイスタンブールがもっとも劣勢で、一時は開催能力の高さから優位に立った東京が福島第一原発の汚染水の問題で失速し、東京とマドリードの接戦か、マドリード優位というのが投票前までの報道の傾向だったように思います。

 おそらくマドリードが勝つのだろうな、と私は予想していただけに、まずマドリードが脱落したという結果には本当に驚きました。ただ、日本が近隣の中国や韓国と政治的に険悪な関係の一方で、スペインも、2024年のパリ開催を狙っているフランスや、夏季オリンピック開催により財政問題を抱えるスペインへの支援を負担させられるかもしれないドイツから冷ややかな視線を向けられている、との情報もあり、東京(日本)もマドリード(スペイン)もそれぞれに近隣地域の支持を必ずしも固められていなさそうな状況なので、私も自分の予想には確信を持てませんでした。投票結果を見ると、マドリードの敗因については、勝利を確信したスペインマスコミの報道が反感を買った可能性も考えられますが、私の予想以上にヨーロッパ票を獲得できなかったことが大きかったのかもしれません。

 東京が夏季オリンピックの国内候補都市に決まってからというもの、たびたびこの問題を取り上げてきましたが、私の立場は最近までずっと変わらず、夏季オリンピックの東京開催には大反対でした。
https://sicambre.seesaa.net/article/200608article_30.html
https://sicambre.seesaa.net/article/200704article_9.html
https://sicambre.seesaa.net/article/200910article_4.html
https://sicambre.seesaa.net/article/201212article_19.html

 そもそも、私は東京が夏季オリンピック開催地に立候補すること自体に大反対だったのですが、最近になって考えが変わってきました。累算で招致活動の費用がかなりの額になっているだろうから、誘致に失敗したら無駄金になってしまう、という気持ちもないわけではありませんが、やはり福島第一原発の汚染水の問題が大きく影響しています。東京オリンピックの開催に反対している人々の中には、そのために予算を使うよりも、福島第一原発に人材・予算を使うべきだ、と考えている方が多そうで(これは私の印象論にすぎませんが)、そうした反対論は、日本オリンピック委員会の竹田恒和会長の「東京は福島から250キロ離れている。まったく問題ない」という発言により、日本社会ではさらに強まった感もあります。

 私も少し前まではそう考えていたのですが、最近になって、2020年のオリンピックが東京で開催されることになれば、日本政府も開催返上という失態は犯すまいと本気になるだろうから、日本政府が今よりもはるかに福島第一原発の問題に真剣になり、人材・予算を増強するのではないか、と考えが変わってきました。もっとも、そうなると他の問題で対策が後回しになることも増えてくる、という懸念はありますが。

 その意味で、今回夏季オリンピックの開催地選考で東京が選ばれたことには、そんなことをやっている場合ではないだろう、との思いも一方ではあり、複雑な心境ではあるのですが、以前とは違って消極的に受け入れよう、と考えています。日本政府には、2020年の夏季オリンピックの開催地が東京に決まったからといって、福島第一原発の問題については国際社会の理解が得られたと認識するのではなく、もう国際社会から深刻に懸念されることのないよう、今まで以上に集中して取り組んでもらいたいものです。

 もっとも、福島第一原発の現状からは、効果的な対策の立てようがあるのか、という懸念もあるのですが、この問題について的確な見解を提示できるだけの見識は私にはとてもなく、過疎ブログとはいえ、デマ拡散にわずかながらでも加担してしまうのも嫌なので、今は、福島第一原発の問題が少しでも早く収束するよう願っています、と述べるにとどめておきます。

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