ニエル賞・フォワ賞結果

 これは9月18日分の記事として掲載しておきます。今月15日にフランスのロンシャン競馬場で凱旋門賞の前哨戦となるニエル賞とフォワ賞(ともに凱旋門賞と同距離)が行なわれ、日本からは、ニエル賞にキズナ(鞍上は武豊騎手)が、フォワ賞にオルフェーヴル(鞍上はスミヨン騎手)とキズナの帯同馬のステラウインド(鞍上は武豊騎手)が出走し、またオルフェーヴルの帯同馬のブラーニーストーン(鞍上は藤岡騎手)が、同日にロンシャン競馬場で行なわれる1000mのプティクヴェール賞に出走しました。レースは、プティクヴェール賞→ニエル賞→フォワ賞の順に行われました。

 まずプティクヴェール賞ですが、ブラーニーストーンは9頭立の6着に終わりました。ディバジとミルザが1着同着で、ブラーニーストーンはそこから5馬身ほど離されたとのことです。ニエル賞については、今年のイギリスダービーを制したルーラーオブザワールドが出走してきたことも気になりましたが、なんといっても、9月初頭の時点で凱旋門賞の前売りで1番人気のパリ大賞典勝ち馬であるフリントシャーが出走してきたことが注目で、GIIの前哨戦としてはかなり高水準の出走馬構成になったように思います。

 キズナについては、父のディープインパクト産駒が日本の軽い芝に合う傾向のあることと、母の父がストームキャットであることから、ロンシャンの2400mをこなせるのか、疑問に思っていましたし、何よりも、同世代の馬としか対戦しておらず、その同世代の馬の中でも抜けた存在ではなさそうで、同世代の水準も現時点ではとても高いとは判断できないことから、厳しい戦いになりそうだ、と思っていました。また、調教師と騎手の追い切り後の発言からは、前哨戦なので絶好調にもっていく必要はないにしても、どうも調子が上向いてこないのかな、とも思ったので、キズナは前哨戦での惨敗もあるのではないか、と懸念していました。

 10頭立となったニエル賞は、プリエンプトが2番手以下を引き離して逃げ、キズナは後方から3番手~2番手でレースを進めていきました。キズナは直線で外に出し、しっかりと追い込んできてルーラーオブザワールドを短頭差抑えて勝ちました。正直なところ、これまで私はキズナを高く評価しておらず、日本ダービーの時もとても勝てないだろう、と思っていたくらいなのですが、いかに前哨戦とはいえ、初の海外遠征で強敵相手に競り勝ったのには本当に驚きました。どうも、私はキズナをずっと過小評価していたようです。キズナは内を突いてこじ開けてくるような器用な馬ではないので、外に出すしかないのでしょうが、状態面での上積みも期待できそうですし、これで本番でも勝ち負けにもっていける目処がじゅうぶん立ったと言えるでしょう。

 アイルランドダービーで大敗して評価を下げていたルーラーオブザワールドですが、さすがに底力があるようで、直線で一度は進路を塞がれたのに、内をこじ開けてきたように勝負根性もあるようですから、本番でも要注意でしょう。最有力視されていたフリントシャーは4着で凡走したと言えるかもしれませんが、やや重い馬場が合わなかったのかもしれませんし、キズナとの着差はあまりなく、何よりも前哨戦ですから、やはり本番でも要注意でしょう。前評判通りヴェルメイユ賞を勝った3歳牝馬トレヴもやはりかなり強そうで、昨年とは異なり今年は凱旋門賞に出走してきそうな3歳馬が強いようですから、キズナも含めて3歳馬のうちどれかが勝ちそうな気がします。

 9頭立となったフォワ賞には、以前は超大物ではないかとの評価もあった昨年の二冠馬キャメロットが出走を予定していましたが、馬場の悪化により出走回避しました。キャメロットは元々、高い期待をかけられていた3歳前半の時点で、道悪は苦手と言われていましたから、この回避は妥当なところだと思います。まあ、キャメロットは過大評価されていたと考えるのが妥当でしょうし、手術をしてから順調ではないということもあり、出走してきても強敵ではないだろうな、とは思っていましたが。怖いのは、香港とオーストラリアに遠征してGIを計3勝しており、前走のサンクルー大賞でも、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを圧勝して凱旋門賞でも有力候補の1頭であるノヴェリスト相手に1馬身1/4差の2着だったドゥーナデンと、ヨーロッパの一線級との力関係が未知数ではあるものの、南米産で南米で走ってきたゴーイングサムウェアかな、と思っていました。

 とはいっても、前哨戦とはいえ、怖い2頭も含めてオルフェーヴルにとっては楽勝しなくてはいけない出走馬構成だと考えていたのですが、問題なのはオルフェーヴルの状態で、宝塚記念を肺出血で回避したり、フランスに移動してから帯同馬に蹴られたりということで、調子がどうなのかということと、そもそも昨年と比較して能力が落ちているのではないか、ということが心配でした。調子自体はなかなか良さそうに見えたのでやや安心しましたが、なんといっても三冠馬になるくらいですから、血統的には晩成型とはいっても、能力はすでに衰えつつあるのではないか、との懸念は残りました。

 レースは、後続を大きく引き離して逃げる馬がおらず一団となって進み、オルフェーヴルは最内枠から3番手につけました。オルフェーヴルはいつもより前につけましたが、かかっているわけではなく、たいへん遅い流れになったわけですから、前に馬を置く形を作れば無理に後方からレースを進める必要はないわけで、この位置取りはよかったと思います。全馬一団のまま直線へと向かい、オルフェーヴルは前が開くとあっという間に後続を突き放し、最後は流して2着のベリーナイスネームに3馬身差をつけて完勝しました。ステラウインドも5着とまずまず健闘しました。

 相手に恵まれたとはいえたいへん強い勝ち方で、オルフェーヴルは少なくとも昨年並の能力・状態を維持できているようですし、きょくたんに遅い流れでもかからなかったように、精神的には成長しているのではないか、と思います。オルフェーヴルは今年1戦しか走っておらず、ここまで順調ではなかっただけに、これだけ走れることに安心しました。オルフェーヴルは今年も最有力候補として凱旋門賞に出走することになるのでしょうが、古馬のノヴェリストもたいへん怖いものの、上述したように斤量に恵まれる3歳勢が今年は強力なようなので、勝ちきるのは容易ではなさそうです。それでも、オルフェーヴルは父ステイゴールド・母父メジロマックイーンということで皐月賞を勝つ前からずっと応援してきただけに、今年こそ何とか勝ってほしいものです。2011年に日本馬が初めてドバイワールドカップを勝った時は、日本馬の1・2着となりましたが、同様に、今年初めて日本馬が凱旋門賞を勝ち、日本馬の1・2着となるよう強く願っています。

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