『週刊新発見!日本の歴史』第12号「奈良時代2 女帝と「怪僧」の時代」
これは9月13日分の記事として掲載しておきます。この第12号はおもに孝謙・称徳朝を中心に取り上げており(その間に淳仁朝がありますが)、奈良時代後半を対象としています。表題にある通り、取り上げられている人物としては孝謙(称徳)天皇と道鏡とが中心になりますが、藤原仲麻呂についての記述も多めです。称徳天皇と道鏡というと、やはり宇佐八幡宮神託事件についての関心が一般にはもっとも高いのでしょうが、この第12号では、その問題について一般の読者層に受けやすそうな明快な「解答」が提示されているわけではなく、やや物足りなさというか消化不良感が残るところではあります。ただ、疑問点が多く評価の難しい宇佐八幡宮神託事件について、憶測にならないていどに叙述するというこの第12号の姿勢は、良心的と言えるのではないか、とも思います。
この第12号は、人物・政治史だけではなく、農業だけではなかった奈良時代の人々の生業を『日本霊異記』などから推測したり、東大寺領を中心に初期荘園の様相を叙述し、それが初期律令国家の地方支配体制と密接に結びついたもので、中央政界の状況や律令国家の地方支配の在り様に多分に左右されて衰退し、平安時代以降の中世につながる荘園とは異なることを指摘したり、正倉院文書が奈良時代史を修正する大きな可能性を秘めていることを指摘したりと、多岐に亘っての論考が掲載されており、なかなか充実しているのではないか、と思います。全体的には、この第12号は官撰史書や律令からはなかなか見えにくい、奈良時代の日本社会の様相を探っていこう、とする志向が強いように思います。
この第12号は、人物・政治史だけではなく、農業だけではなかった奈良時代の人々の生業を『日本霊異記』などから推測したり、東大寺領を中心に初期荘園の様相を叙述し、それが初期律令国家の地方支配体制と密接に結びついたもので、中央政界の状況や律令国家の地方支配の在り様に多分に左右されて衰退し、平安時代以降の中世につながる荘園とは異なることを指摘したり、正倉院文書が奈良時代史を修正する大きな可能性を秘めていることを指摘したりと、多岐に亘っての論考が掲載されており、なかなか充実しているのではないか、と思います。全体的には、この第12号は官撰史書や律令からはなかなか見えにくい、奈良時代の日本社会の様相を探っていこう、とする志向が強いように思います。
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