『週刊新発見!日本の歴史』第3号「飛鳥時代1 蘇我氏と大王家の挑戦」

 まだ日付は変わっていないのですが、7月6日分の記事として掲載しておきます。この第3号は6世紀後半から乙巳の変までを対象としており、聖徳太子について多く触れられているのが特徴となっています。聖徳太子虚構説が一般向け書籍で主張されてから十数年が経過し、この間にテレビ番組でも度々取り上げられていますから、今では少なからぬ日本人が聖徳太子虚構説を知っているでしょうし、古代史のなかでもとくに関心の高い問題でしょうから、聖徳太子を中心とした構成になっているのも当然かもしれません。年代順を無視して第3号と早い段階での刊行となったことにも納得できます。

 この『週刊新発見!日本の歴史』の各号は、複数の執筆者の論考から構成されているので、必ずしも見解が統一されていることにはならないのでしょうが、この第3号では、諸文献に見える聖徳太子の事績をそのまま史実とみなすことはできないものの、聖徳太子は次期大王の候補でもある有力な王族であり、推古大王・蘇我馬子と共に、この時代の政治に主導的役割を果たした、という見解が共通認識になっています。現時点では、それが穏当な見解だろう、とは思います。倭と隋との関係における仏教の重視など、一昔前の通俗的認識とは異なる見解も強調されているところが、「新発見」的かな、とは思います。琉球と蝦夷についても取り上げられており、全体的には「当たり」の号でした。

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