エジプトで軍部によるクーデター

 まだ日付は変わっていないのですが、7月5日分の記事として掲載しておきます。エジプトでは、長期に亘ったムバラク政権が2年前に「アラブの春」のなかで崩壊し、軍部による暫定統治政権を経て、ムスリム同胞団出身のモルシ氏が大統領に就任しました。確か、モルシ氏はムスリム同胞団にとって二番手か三番手の候補であり、「本命」が資格審査で失格とされたので、モルシ氏を擁立したと記憶しています。そもそも、モルシ氏はさほど求心力のある人物ではなかったのでしょう。大統領選で決選投票に進んだモルシ氏は、対立候補がムバラク政権最後の首相で旧体制の側の人物とみなされたため、反ムバラク政権の世俗派の支持も得て、何とか勝って大統領に就任しました。

 モルシ政権は、統治経験の不足もあってか、経済・治安問題で国民の不満が高まる結果となり、最近では反政権デモが活発化していました。確かに、モルシ政権の統治能力にも問題はあったのでしょうが、警察がモルシ政権に非協力的と報道されていましたから、治安の悪化については、警察にも少なからぬ責任があるのかもしれません。混乱が続くなか、ついにエジプト軍はモルシ政権にたいして最後通告を発し、モルシ政権がこれを無視すると、現地時間の7月3日夜、ついに軍部はクーデターを起こし、モルシ大統領は拘束されて失脚し、モルシ政権で制定された憲法も停止されました。この後、暫定政権を経て大統領と議会の選挙が行われる予定ですが、モルシ氏個人は不人気としても、イスラーム主義寄りの支持者は多そうですから、またしても世俗派にとっては不満の残る選挙結果になりそうです。

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