セディバについての報道

 まだ日付は変わっていないのですが、4月21日分の記事として掲載しておきます。『サイエンス』2013年4月12日号にて、アウストラロピテクス=セディバについての特集が組まれたことをこのブログで取り上げましたが、『ナショナルジオグラフィック』でこの特集が取り上げられました。なかなか詳しく有益な解説だと思います。原始的特徴と派生的特徴の混在するセディバの人類進化史における位置づけについては、議論が続いているようです。セディバの発見・分析に関わった研究者のなかには、セディバはホモ属の祖先である可能性を考えるべきだ、と主張する人もいますが、この見解に賛同する研究者は少ないようです。確かに、ホモ属的な特徴を有する人骨の出現はセディバより40万年ほど古く、現時点での有力な年代観では、セディバをホモ属の祖先とする根拠は乏しいように思います。

 アウストラロピテクス属に分類すべきとも主張されている、ホモ=ハビリスやホモ=ルドルフェンシスをホモ属から除外し、ホモ属をエレクトス(もしくはエルガスター)以降に限定した場合は、現時点ではセディバはホモ属よりも古くなりますが、セディバの存在した年代からエレクトスの出現まで、長く見積もっても20万年以下でしょうから、あり得ない想定ではないにしても、セディバと同年代に、もっとホモ属的特徴の多い人類が存在し、エレクトス、さらには現代人の祖先になった、という可能性のほうが高いように思います。ただ、セディバがエレクトスおよび現代人の祖先ではないとしても、古人類学においてたいへん貴重な存在であることに変わりはありません。

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