土器の使用法の最古の証拠

 まだ日付は変わっていないのですが、4月20日分の記事として掲載しておきます。すでに日本の一般紙でも取り上げられていましたが、縄文時代草創期の土器の使用法についての研究(Craig et al., 2013)が報道されました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用で、縄文時代草創期の土器は調理に使われており、食材には海産および淡水産生物が含まれていたことが確認されました。この研究では、北海道・新潟・福井・長野・鹿児島各県の13遺跡から出土した縄文式土器の破片計101個の表面の付着物が分析された、とのことです。それら土器の破片の年代は、およそ15000~11800年前となります。土器が調理にも使われていただろう、と推測していた人は多かったでしょうが、それが実証されたことに大きな意義があるように思います。

考古学: 土器の使用法を裏付ける最古の証拠
考古学:魚の調理に使われた最古の土器
 土器の発達は人類の歴史の中でも画期的な出来事の1つであり、高度な調理や貯蔵などの多くの技術に道を開いた。知られているかぎりで最古の土器製作民は、農耕や定住的な生活様式が発達するはるか以前の東アジアに居住していた。当時それらの土器が何に使われていたのかは推測の域を出なかったが、今回その化学的分析が行われた。縄文時代草創期(1万5000~1万1800年前)の焦げの付いた土器101点について、クロマトグラフィーによる安定同位体分析が行われた結果、土器が調理に使われていたことを示す最古の証拠が得られた。また、土器の破片から抽出された脂質は、海産および淡水産の生物に特徴的なものだったので、当時のメニューには魚が含まれていたと考えられる。



参考文献:
Craig OE. et al.(2013):Earliest evidence for the use of pottery. Nature, 496, 351–354.
http://dx.doi.org/10.1038/nature12109

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック