アフリカ北部における180万年前頃の人類の石器使用と食資源
これは3月5日分の記事として掲載しておきます。アフリカ北部における180万年前頃の石器使用についての研究(Sahnouni et al., 2013)の要約を読みました。これまで、アフリカにおける初期人類の生業についての考古学的証拠は、おもにサハラ砂漠以南で得られてきました。この研究では、アルジェリア北東部にあるEl-Kherbaで発見された石器と動物の骨の分析から、180万年前頃のアフリカ北部における人類の活動が推測されています。El-Kherbaでは178万年前にさかのぼるオルドワン(オルドヴァイ文化)石器が発見されていて、素材はおもに石灰岩と燧石であり、核・削片群・加工された剥片が確認されます。
El-Kherbaでは動物の骨も発見されており、サヴァンナの動物相と類似していて、大型および中型動物(おもに成体)、とくにウマ科によって占められています。こうした骨には多くのカットマークと叩かれた痕跡が確認され、石器にも使用痕が確認されることから、180万年前頃のアフリカ北部の人類は、石器を用いて大型および中型動物を解体して食べていたのではないか、と推測されます。ただ、この年代のアフリカ北部の人類が狩猟により大型動物を得ていたのかというと、その確実な証拠はなさそうで、死肉漁りだった可能性が高いでしょう。
この要約を読んだかぎりでは、El-Kherbaでは石器・動物の骨に人骨は共伴していないようで、このオルドワン石器を使用したのがどの人類種なのか、不明です。現時点での証拠からは、最初期のホモ=エレクトスか、ホモ(あるいはアウストラロピテクス)=ハビリス的な人類か、185万年前頃のドマニシにいた人類と同じく、エレクトスとハビリスの中間的な形態の人類が候補として考えられます。また、動物相の分析から、当時のアフリカ北部の気候が現代とは違っていただろう、ということが推測され、古気候の研究の進展という点でも興味深い研究です。
参考文献:
Sahnouni M. et al.(2013): The first evidence of cut marks and usewear traces from the Plio-Pleistocene locality of El-Kherba (Ain Hanech), Algeria: implications for early hominin subsistence activities circa 1.8 Ma. Journal of Human Evolution, 64, 2, 137–150.
http://dx.doi.org/10.1016/j.jhevol.2012.10.007
El-Kherbaでは動物の骨も発見されており、サヴァンナの動物相と類似していて、大型および中型動物(おもに成体)、とくにウマ科によって占められています。こうした骨には多くのカットマークと叩かれた痕跡が確認され、石器にも使用痕が確認されることから、180万年前頃のアフリカ北部の人類は、石器を用いて大型および中型動物を解体して食べていたのではないか、と推測されます。ただ、この年代のアフリカ北部の人類が狩猟により大型動物を得ていたのかというと、その確実な証拠はなさそうで、死肉漁りだった可能性が高いでしょう。
この要約を読んだかぎりでは、El-Kherbaでは石器・動物の骨に人骨は共伴していないようで、このオルドワン石器を使用したのがどの人類種なのか、不明です。現時点での証拠からは、最初期のホモ=エレクトスか、ホモ(あるいはアウストラロピテクス)=ハビリス的な人類か、185万年前頃のドマニシにいた人類と同じく、エレクトスとハビリスの中間的な形態の人類が候補として考えられます。また、動物相の分析から、当時のアフリカ北部の気候が現代とは違っていただろう、ということが推測され、古気候の研究の進展という点でも興味深い研究です。
参考文献:
Sahnouni M. et al.(2013): The first evidence of cut marks and usewear traces from the Plio-Pleistocene locality of El-Kherba (Ain Hanech), Algeria: implications for early hominin subsistence activities circa 1.8 Ma. Journal of Human Evolution, 64, 2, 137–150.
http://dx.doi.org/10.1016/j.jhevol.2012.10.007
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