『ダ・ヴィンチ』2013年4月号

 これは3月10日分の記事として掲載しておきます。『天智と天武~新説・日本書紀~』の記事が掲載されていると知ったので、購入しました。『ダ・ヴィンチ』はその昔何度か読んだことがありますが、もう何年も読んでいませんでした。『ダ・ヴィンチ』はそれなりのページ数でカラーページも多いのに490円と安いのは、各記事に広告としての性格が強いからなのではないか、と邪推しています。表紙のモデルは本田翼氏で、首都圏のJRの駅で掲示されているスキーのポスターでの美しさが強く印象に残るのですが、他の画像を見ると、それほどでもないというか、芸能界ではさほど珍しくない可愛さといった感じで、やや拍子抜けしてしまいました。まあそれでも、『天智と天武~新説・日本書紀~』の記事が3ページしか掲載されていないのに、購入する動機の一つにはなりましたが。

 さて、本題の『天智と天武~新説・日本書紀~』の記事についてですが、正直なところ、読み応えがあったのは作者の中村真理子氏のインタビューくらいだったのは残念でした。作品の紹介では、蘇我入鹿が聖徳太子で、大海人が入鹿の息子という設定が独創的な仮説とされていますが、両方ともすでに20年以上前に関裕二氏が主張していますし、それよりも前に同様の仮説を主張した人がいるかもしれません。ただ、こうした通説とは異なる想定では、大海人は中大兄よりも年長であることがほとんどなのですが、この作品では兄弟の順は通説準拠であり、これは独創的と言えるかもしれません。また、大海人(天武天皇)の出生年が不明なのは天皇としては異例のことともされていますが、この認識が間違いだということは、以前このブログで取り上げました。
https://sicambre.seesaa.net/article/201009article_30.html

 作者の中村氏へのインタビューによると、中村氏は歴史音痴とのことですが、今ではすっかり日本古代史に魅了されているようです。中大兄皇子は、豊璋に操られているものの、しだいにモンスター的な面が現れてくる、とのことで、すでに第13話「大見得」
https://sicambre.seesaa.net/article/201302article_27.html
にて、そうした側面が現れているように思います。また、大海人は一癖ある爽やかな青年から、兄の中大兄皇子への復讐に向けて黒い部分が強くなってくる、とのことで、大海人の復讐が果たして何を意味するのか、ということも含めて、今後の展開が楽しみです。おそらく、大海人の復讐とは、中大兄皇子を殺害することではなく、父の入鹿の志を実現することにあるのではないか、と予想しているのですが、どうなるでしょうか。

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