『【予言・預言対談】飛鳥昭雄×五島勉 ノストラダムスの正体と黙示録の真実』
まだ日付は変わっていないのですが、2月13日分の記事として掲載しておきます。学研パブリッシングより2012年12月に刊行されました。飛鳥昭雄氏と五島勉氏の対談で、五島氏の単著というわけではありませんが、五島氏のファンとしては読まずにはいられませんでした。飛鳥氏はオカルト業界では著名な作家で、五島氏の対談相手として適任だろう、と思います。私は飛鳥氏の著作を読んだことがないので、飛鳥氏がかつて五島氏を厳しく批判していた、という話の真偽について判断はできませんが、この対談は文章で読んだかぎりでは和やかな感じでした。本書には五島氏の近影が載っているのですが、さすがに五島氏もかなり老けました。1980年代前半までの五島氏の写真を見ると、その表情からかなり鋭い感じを受けるのですが、現在では好々爺といった印象です。五島氏のファンとしては、愕然としたというほどではないにしても、寂しさも感じましたが、五島氏もすでに80代ですから、仕方のないところではあります。
本書は、現在の世界の危機を予言・預言を手がかりに読み取り、その解決策と未来を探る、という主題の対談になっています。五島氏・飛鳥氏ともに、ノストラダムスの予言は外れていない、時期がずれたり、人々の献身的な活躍により危機が回避・縮小されたりしたのだ、という立場をとっています。危機感を煽って過去の文献と強引に結びつけるような言説はこれまでにも珍しくなく、おそらく今後も絶えることはないでしょう。これが昂じると、終末が近いという扇動になるわけですが、こうした行為は少なくとも2000年近く前から続いてきたわけで、そうした扇動が一部の宗教団体などにとどまらず、社会全体において決定的な役割を果たした事例がおそらくは皆無だろうということは、ある意味で人類社会の健全性の証左と言えるかもしれません。
五島氏をはじめとして、過去の文献と強引に結びつける形で危機感・終末感を煽ってきた人々に好意的に解釈すると、過去の社会も現代社会も全体的に危機にたいして鈍感すぎるのであり、扇動的な言説も必要なのだ、ということなのかもしれませんが、やはり強引さと説得力のなさは否めません。ただ、現代世界において人口・資源・環境・大量破壊兵器・感染症などの問題がひじょうに深刻であることは否めず、五島氏の主張があるていど影響力をもつにいたったのも当然かな、とは思います。五島氏には時代を読む才覚があった、ということでもあるのでしょう。
正直なところ、五島氏・飛鳥氏の発言には自己弁護的な性格が強く、期待していたほど面白かったというわけではありませんが、『ノストラダムスの大予言』が刊行されるにいたった経緯や、当時の出版業界の一側面など、五島氏の発言には戦後日本史の一断面を窺わせる興味深いものが多く、本論よりもむしろ雑談のほうが面白く読めました。五島氏は新作の執筆に取りかかる予定だそうで、大いに楽しみではありますが、題材はハーバート=ジョージ=ウェルズの著作とのことで、さすがに五島氏も、新規のネタを発掘して本をまとめあげるだけの気力はもうないようで、過去の自著のネタを使い回すようです。それでも、五島氏の新作となるとやはり読みたいので、無事に刊行されることを願っています。
本書は、現在の世界の危機を予言・預言を手がかりに読み取り、その解決策と未来を探る、という主題の対談になっています。五島氏・飛鳥氏ともに、ノストラダムスの予言は外れていない、時期がずれたり、人々の献身的な活躍により危機が回避・縮小されたりしたのだ、という立場をとっています。危機感を煽って過去の文献と強引に結びつけるような言説はこれまでにも珍しくなく、おそらく今後も絶えることはないでしょう。これが昂じると、終末が近いという扇動になるわけですが、こうした行為は少なくとも2000年近く前から続いてきたわけで、そうした扇動が一部の宗教団体などにとどまらず、社会全体において決定的な役割を果たした事例がおそらくは皆無だろうということは、ある意味で人類社会の健全性の証左と言えるかもしれません。
五島氏をはじめとして、過去の文献と強引に結びつける形で危機感・終末感を煽ってきた人々に好意的に解釈すると、過去の社会も現代社会も全体的に危機にたいして鈍感すぎるのであり、扇動的な言説も必要なのだ、ということなのかもしれませんが、やはり強引さと説得力のなさは否めません。ただ、現代世界において人口・資源・環境・大量破壊兵器・感染症などの問題がひじょうに深刻であることは否めず、五島氏の主張があるていど影響力をもつにいたったのも当然かな、とは思います。五島氏には時代を読む才覚があった、ということでもあるのでしょう。
正直なところ、五島氏・飛鳥氏の発言には自己弁護的な性格が強く、期待していたほど面白かったというわけではありませんが、『ノストラダムスの大予言』が刊行されるにいたった経緯や、当時の出版業界の一側面など、五島氏の発言には戦後日本史の一断面を窺わせる興味深いものが多く、本論よりもむしろ雑談のほうが面白く読めました。五島氏は新作の執筆に取りかかる予定だそうで、大いに楽しみではありますが、題材はハーバート=ジョージ=ウェルズの著作とのことで、さすがに五島氏も、新規のネタを発掘して本をまとめあげるだけの気力はもうないようで、過去の自著のネタを使い回すようです。それでも、五島氏の新作となるとやはり読みたいので、無事に刊行されることを願っています。
この記事へのコメント