フロレシエンシスの復元像

 ホモ=フロレシエンシスの復元像について報道されました。これは、オーストラリア南東部のニューサウスウェールズ州にあるウーロンゴン大学の人類学者である、スーザン=ヘイズ(Susan Hayes)上席主任研究官の研究によるものです。これまでにもフロレシエンシスの復元像はいくつか公開されていて、日本の国立科学博物館でも復元像が展示されており、テレビで取り上げられたこともあります。この報道で取り上げられた復元像は、これまで公開されたものが猿のような特徴を強調していたことを見直したということもあって、より現代人に近いように見えますし、穏やかな感じの表情になっていますので、親近感がもてます。

 インドネシア領フローレス島にあるリアンブア洞窟の後期~末期更新世の地層で21世紀になって発見された人骨群は、一部では病変の現生人類(ホモ=サピエンス)との説が根強く主張されていますが、その独特の特徴から、人類の新種ホモ=フロレシエンシスと分類する見解が、今では学界でも広く受け入れられているように思います。フロレシエンシスについての研究が一般にも広く浸透するようになるには、このような復元像の提示たいへん効果的でしょうが、それだけに、復元像の公開にあたっては慎重でならなければならないだろう、とも思います。今後も、フロレシエンシスについての研究が進み、また別の復元像が提示されることを期待しています。

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