『天智と天武~新説・日本書紀~』第11話「定恵入唐」
これは1月29日分の記事として掲載しておきます。『ビッグコミック』2013年2月10日号掲載分の感想です。今回は巻頭カラーとなります。今回の表題にあるように、豊璋の息子の真人が出家して定恵と名乗って唐に渡ることになり、豊璋が後世において中臣(藤原)鎌足として伝えられている人物であることは、ほぼ確定したと言えるでしょう。鎌足の長男である真人の出家と入唐の理由は謎とされているのですが、この作品では、豊璋が溺愛する息子を猜疑心の強い中大兄皇子から守るためとされ、そこに大海人皇子が深く関わっていた、という話になっています。この創作が成功と言えるのか否かは、今後の話を読まなければ判断できませんが、現時点では、なかなか面白い話になっています。
定恵が遣唐使船に乗る前日、中大兄は宴会を催し、豊璋も招きます。唐・新羅との通交に反対の中大兄は、同じ考えの豊璋のために、遣唐使船が沈没し、入鹿と同じく唐・新羅との通交路線を進める孝徳天皇が病気になるよう祈願させているのだ、と豊璋に言いますが、定恵が遣唐使船に乗ることが決まっているため、豊璋の心境は複雑なようです。宴会は夜通しとなり、大海人は豊璋が定恵を見送れるよう、中大兄に進言します。驚き怒る中大兄にたいして大海人は、真人を殺せば禍根を残し、百済との戦になるかもしれず、何よりも豊璋ほどの人物を敵に回して困るだろう、と主人の中大兄のためであることを強調します。
すると中大兄は、大海人と二人で楽しむことにしたので、と言って豊璋に帰るよう命じ、豊璋の前で大海人に接吻します。しかし、大海人がまったく表情を変えないことが意外だったのか、つまらないと言って大海人を突き放します。入鹿にたいして密かに想いを寄せていた中大兄は、入鹿にそっくりの大海人にたいして、自分への復讐を図る危険人物と理解していても、憧憬と征服欲からこのような行動に出た、ということなのでしょうか。中大兄・大海人の兄弟(この作品では異父兄弟)が互いに複雑な想いを抱いたまま、話は展開していきそうです。大海人の助言に感謝しつつ、豊璋が定恵を見送る、というところで今回は終了です。
今回は、期待していたほど謎解きは進みませんでしたが、なかなか面白く、今後も大いに楽しみです。百済の王族である豊璋が倭(日本)と唐・新羅との通交を危険視するのは分かるのですが、中大兄が祈祷を命じるほどに唐・新羅との通交という路線を憎んでいる理由が、どうもよく分かりません。入鹿への愛憎入り混じる感情のため、ということなのでしょうか。まあ、まだ第5話・第9話・第10話・第11話を読んだだけなので、私が読んでいない話ですでに説明されているのかもしれませんが。大海人は豊璋ではなく真人を助けたのであり、それは中大兄のためでもあるのだ、ということは説明されましたが、真の目的は他にありそうな気がします。また、今後登場するだろう不比等がどう関わってくるのか、ということも気になります。次号の予告は「中大兄の魔手は孝徳帝に・・・?」となっており、今回が西暦でいうと653年の話でしたから、孝徳天皇の崩御が近いわけで、孝徳天皇は中大兄(と豊璋?)に殺された、という話になるのかもしれません。
定恵が遣唐使船に乗る前日、中大兄は宴会を催し、豊璋も招きます。唐・新羅との通交に反対の中大兄は、同じ考えの豊璋のために、遣唐使船が沈没し、入鹿と同じく唐・新羅との通交路線を進める孝徳天皇が病気になるよう祈願させているのだ、と豊璋に言いますが、定恵が遣唐使船に乗ることが決まっているため、豊璋の心境は複雑なようです。宴会は夜通しとなり、大海人は豊璋が定恵を見送れるよう、中大兄に進言します。驚き怒る中大兄にたいして大海人は、真人を殺せば禍根を残し、百済との戦になるかもしれず、何よりも豊璋ほどの人物を敵に回して困るだろう、と主人の中大兄のためであることを強調します。
すると中大兄は、大海人と二人で楽しむことにしたので、と言って豊璋に帰るよう命じ、豊璋の前で大海人に接吻します。しかし、大海人がまったく表情を変えないことが意外だったのか、つまらないと言って大海人を突き放します。入鹿にたいして密かに想いを寄せていた中大兄は、入鹿にそっくりの大海人にたいして、自分への復讐を図る危険人物と理解していても、憧憬と征服欲からこのような行動に出た、ということなのでしょうか。中大兄・大海人の兄弟(この作品では異父兄弟)が互いに複雑な想いを抱いたまま、話は展開していきそうです。大海人の助言に感謝しつつ、豊璋が定恵を見送る、というところで今回は終了です。
今回は、期待していたほど謎解きは進みませんでしたが、なかなか面白く、今後も大いに楽しみです。百済の王族である豊璋が倭(日本)と唐・新羅との通交を危険視するのは分かるのですが、中大兄が祈祷を命じるほどに唐・新羅との通交という路線を憎んでいる理由が、どうもよく分かりません。入鹿への愛憎入り混じる感情のため、ということなのでしょうか。まあ、まだ第5話・第9話・第10話・第11話を読んだだけなので、私が読んでいない話ですでに説明されているのかもしれませんが。大海人は豊璋ではなく真人を助けたのであり、それは中大兄のためでもあるのだ、ということは説明されましたが、真の目的は他にありそうな気がします。また、今後登場するだろう不比等がどう関わってくるのか、ということも気になります。次号の予告は「中大兄の魔手は孝徳帝に・・・?」となっており、今回が西暦でいうと653年の話でしたから、孝徳天皇の崩御が近いわけで、孝徳天皇は中大兄(と豊璋?)に殺された、という話になるのかもしれません。
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