エーミアン間氷期の気候の詳細な記録

 まだ日付は変わっていないのですが、1月25日分の記事として掲載しておきます。完新世における人類の遺伝的変異を推定した研究(Dahl-Jensen et al., 2013)が公表されました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用ですが、エーミアン間氷期と呼ばれる130000~115000年前頃は、現生人類(ホモ=サピエンス)がアフリカからレヴァントへと進出した時期でもあり、以前より、温暖な気候に変化したことによって、アフリカ起源の現生人類のレヴァントへの進出が可能になったのではないか、と言われています。この時期にレヴァントへと進出した現生人類は、絶滅したか気候の寒冷化にともないアフリカに戻った、という見解が主流なのですが、そうではなかった可能性も考えるべきだろう、と思います(関連記事)。

気候: グリーンランドの褶曲層の氷床コアから復元されたエーミアン間氷期
気候: エーミアン間氷期の気候の詳細な記録
 グリーンランドの氷床は、質量を失いつつあり、進行中の海水準上昇に寄与しているが、エーミアン間氷期と呼ばれる13万~11万5000年前の最終間氷期におけるグリーンランド氷床の変化についてはよくわかっていないため、確実性の高い予測ができていない。今回、新しいNEEM氷床コアを使って、エーミアン間氷期の気候記録の復元に成功した。この記録は、この時期が最近の1000年間より8°C暖かい気候であったにもかかわらず、氷床の厚さが数百mしか減少しなかったことを示している。加えて、この氷床コアは、エーミアン間氷期に氷床の中央北部で著しい表面融解が発生したことを示しているが、こうした状況を我々は近々再び見ることになりそうだ。それは、2012年7月にグリーンランドで観測された暖かい気温によってNEEMで形成された融解層によって実証されている。



参考文献:
Dahl-Jensen W. et al.(2013): Eemian interglacial reconstructed from a Greenland folded ice core. Nature, 493, 489–484.
http://dx.doi.org/10.1038/nature11789

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