4000年前のインドからオーストラリアへの人類の移動?
まだ日付は変わっていないのですが、1月22日分の記事として掲載しておきます。4000年前にインドからオーストラリアへと人類の移動があった可能性を主張する研究(Pugach et al., 2013)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究では、アボリジニー・ニューギニア人・フィリピンのネグリート集団のゲノムデータが解析・比較されました。その結果、これらの集団の分岐年代は36000年前と推定され、出アフリカ後の現生人類(ホモ=サピエンス)による南経路での初期の移住を示しており、この地域の他の人類集団は、別の拡散により後になって到着した、という見解が支持されることになりました。これは、現在の通説というか優勢な見解と大きく食い違わないと言えるでしょう。
しかしこの研究では、ヨーロッパ人到来以前のオーストラリアの人類と他地域の人類との交流については、現在優勢な見解とは異なる見解が主張されています。現在優勢な見解では、オーストラリアへの現生人類の移住(オーストラリアに現生人類以外の人類が到達した証拠はありません)は遅くとも40000年前にはさかのぼり、その後オーストラリアの人類は、ヨーロッパ人が本格的に侵攻してくるまでは孤立していた、とされます(関連記事)。一方この研究では、ゲノムの解析・比較により、インドからオーストラリアへの遺伝的流動が4230年前に起きた、と主張されています。考古学的記録によると、この時期にオーストラリアでは道具製作技術や食品加工の変化が認められ、ディンゴが出現していますので、これらもインドからオーストラリアへの人類の移動と関わっているのではないか、とこの研究では示唆されています。
参考文献:
Pugach I. et al.(2013): Genome-wide data substantiate Holocene gene flow from India to Australia. PNAS, 110, 5, 1803–1808.
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1211927110
しかしこの研究では、ヨーロッパ人到来以前のオーストラリアの人類と他地域の人類との交流については、現在優勢な見解とは異なる見解が主張されています。現在優勢な見解では、オーストラリアへの現生人類の移住(オーストラリアに現生人類以外の人類が到達した証拠はありません)は遅くとも40000年前にはさかのぼり、その後オーストラリアの人類は、ヨーロッパ人が本格的に侵攻してくるまでは孤立していた、とされます(関連記事)。一方この研究では、ゲノムの解析・比較により、インドからオーストラリアへの遺伝的流動が4230年前に起きた、と主張されています。考古学的記録によると、この時期にオーストラリアでは道具製作技術や食品加工の変化が認められ、ディンゴが出現していますので、これらもインドからオーストラリアへの人類の移動と関わっているのではないか、とこの研究では示唆されています。
参考文献:
Pugach I. et al.(2013): Genome-wide data substantiate Holocene gene flow from India to Australia. PNAS, 110, 5, 1803–1808.
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1211927110
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