大河ドラマ『平清盛』第50回(最終回)「遊びをせんとや生まれけむ」

 これは12月25日分の記事として掲載しておきます。ついに最終回を迎えましたが、おそらく大河ドラマとしては前代未聞の低視聴率のために、近年では恒例の最終回延長放送にならなかったのは残念でした。番組関係者ではなく一視聴者の私にとって、低視聴率は視聴意欲を削ぐ要因にはまったくなりませんでしたので、単純に視聴している分には視聴率はどうでもよいとも言えるのですが、視聴率が一定水準以上だと最終回が延長放送になっただろうということを考えると、視聴率の低迷は困ったことなのだなあ、と思います。延長放送にならなかったこともあって、最終回が駆け足になった感は否めませんが、清盛の死から平家の滅亡、さらにはその後の西行・頼朝・義経・弁慶・後白河院も描こうというのですから、仕方のないところでしょう。

 高熱を発して倒れた清盛の生き霊は、宋剣を携えて伊勢にある西行の庵にいました。幻想的な演出でしたが、ここを盛り上げるためには、もっと清盛と西行との関係を描いておくべきだったのではないか、と思います。間もなく亡くなるのだろう、と西行に言われた清盛は取り乱しますが、いつも夢中に生きてきた清盛の一生はまばゆいばかりだ、との西行の言葉に満足したのか、本体?に意識が戻り、看病する平家一門の前で立ち上がり、自分の墓前に頼朝の首を供えよ、と力強く言い残して亡くなります。西行は清盛の遺品となった宋剣を届けに平家一門を訪ね、清盛から平家一門への遺言を伝えます。

 清盛死後の平家没落の描写は本当に駆け足で、清盛が主人公の作品だけにそれでよいとは思うのですが、延長放送であれば、と残念ではあります。壇ノ浦の戦いはやや詳しく描かれ、知盛・時子には見せ場がありました。徳子(建礼門院)の壇ノ浦後の動向は語りのみで、大原御幸は描かれませんでした。壇ノ浦の戦いの場にはいなかったりすでに亡くなったりしていた、重衡・忠度・維盛・貞能・忠清の動向・最期についても簡単に触れられました。頼朝に降った頼盛の動向はやや詳しく描かれ、離れ離れになっても平家が一蓮托生であることを強調する話になっていました。

 壇ノ浦の戦いの後、盛国・義経・弁慶の壇ノ浦後の動向と最期が描かれますが、盛国は清盛没後すっかり気力を失ったようで、清盛への忠義が強かったことを印象づける脚本・演出になっていました。この盛国の変わりようは、短い描写だったものの、なかなかよかったと思います。滅亡した平家を弔うかのように琵琶を弾き語っている法師は、以前小説版を取り上げた時に少しだけ紹介しましたが、
https://sicambre.seesaa.net/article/201210article_31.html
禿の長だった羅刹でした。これは上手い創作だったと思いますが、小説版を読んでいないと琵琶法師が羅刹だと気づきにくかったでしょう。

 壇ノ浦の戦いの後、頼朝と西行との有名な逸話を取り入れた場面が描かれました。ここで改めて、頼朝が清盛の志を継承する者であることが強調されます。小説版では、西行に感謝の意を表した頼朝が西行に銀の猫を与え、西行は若き日に自分・清盛・義朝の三人が、猫が朝廷に迷い込んだことをきっかけに将来の夢を語り合ったことを思い出し、笑みを浮かべる、という描写があったのですが、銀の猫の件は政子の口から語られただけでした。延長放送ではなかったのが、本当に残念です。最後に、清盛が海底の都で平家一門と再会するという幻想的な場面で物語は終わります。

 ついにこの作品も完結となり、一年間熱心に視聴を続けてきただけに、なんとも寂しいものです。延長放送ではなかったために最終回が駆け足だったのは本当に残念でしたが、短い時間内で平家一門の動向を何とか語ろうという意図は伝わってきました。平家物語ではなく、清盛が主人公のドラマなので、清盛死後が駆け足となるのは、あるていど仕方のないところだと思います。歴史ドラマとしては色々と不満もありましたが、本放送の大河ドラマとしては、2007年放送の『風林火山』以来の楽しめた作品でした。全体的な感想は、近いうちにこのブログに掲載する予定です。

この記事へのコメント

みら
2012年12月23日 21:37
こんばんわ
最終回って、いつもこんな風に駆け足気味ですけど、今回はほんとうにあたふたしてましたね~。
45分ってかなり短いんだと実感しました。
ラストの琵琶法師が例の…一瞬でしたね!ですけど、お気がつけて良かったです。

ドラマには何の関係もありませんが、かつての夫だった人の両親は赤間神宮で露店をしていたので、赤間神宮の鳥居をみるとつい、昔を懐かしんでしまいます。

今日は病院のクリスマスパーティーに誘われていたのですが、インフルとノロウィルス感染が気になるのでやめました…というより、最終回が見たかったからかな。
2012年12月24日 19:24
通常放送では短すぎました。

おそらく、脚本も当初は延長放送前提だったのではないか、と思います。
みら
2012年12月29日 09:13
おはようございます。
清盛は来年の2日3日に総集編を放映するらしいですね。その録画をしようとしたら残りわずかな録画時間しかなく、しかも正月時代劇と時間帯がかぶるので困ってます。一昨年買ったSHARPのテレビ、裏録出来ず…。
年末と正月だけは、不便を感じます。
今年もお世話になりました、また、来年も大河ドラマとほえろのコメント楽しみにしてます。
2012年12月29日 20:55
今年も色々とありがとうございました。

来年の大河ドラマは、気楽に視聴するつもりです。
みら
2012年12月29日 22:00
気楽に…あーそうですね、そうしてください笑。
いろんなことが心配でナントナク疲れましたよね、まあ、でも来年のキャストは劉さんのお好きなしほりちゃんと、私の好きな長谷川博巳さんがいるのです。またまた来年も気合い入っちゃうかもしれませんね笑。
それでは、良いお年をお迎えください。

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