大河ドラマ『平清盛』第46回「頼朝挙兵」

 まだ日付は変わっていないのですが、11月26日分の記事として掲載しておきます。今回は、以仁王の挙兵とその結果としての以仁王・頼政・仲綱の敗死、福原への遷都と清盛の迷走、頼朝の挙兵による清盛の覚醒が描かれました。以仁王の挙兵にはそれなりに時間が割かれ、頼政への関心の高い人にとっては時間配分に不満が残ったかもしれませんが、清盛が主人公のドラマなので、これでよいのではないか、と思います。頼政の初登場は保元の乱の回で、それ以降、出番は少なかったものの、自分の境遇と処世に悩むところなど、印象に残る場面がありました。

 同じ武士の頼政にさえ自分の志が理解されていなかったことに激怒した清盛は、ますます独裁的になっていき、周囲の反対を押し切って強引に福原遷都を決めます。その福原における清盛の言動は、白河院を想起させるものでした。清盛は、この世の頂からの眺めは果てしない闇で、何を手に入れても光には届かない暗黒の世界であることを告白し、助けを求めます。すっかり迷走した清盛を救ったのは、頼朝挙兵との報せでした。頼朝の挙兵を知った清盛は武士の魂を取り戻し始め、清盛の志の象徴とも言える宋剣を握ります。

 今回は、清盛の迷走と覚醒が主題になって描かれました。小説版を読んだときは、回想場面が多くなって冗長な構成になるのではないか、と思ったのですが、本放送では懸念していたほど回想場面は多くありませんでした。西行が久々に登場してそれなりに存在感を示しました。出家以降すっかり存在感が希薄になった西行ですが、これから最終回にかけて、重要な役割を担うようです。正直なところ、西行の人物造形とこの作品における位置づけは失敗だったかな、と思うのですが、終盤の活躍を映像で見ると、印象が変わるかもしれません。このところ、なかなか安定して面白く、今回も楽しめました。小説版を読んだかぎりでは、最終回まで楽しめるだけの水準を維持できそうです。

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