本村凌二『古代ローマとの対話 「歴史感」のすすめ』
まだ日付は変わっていないのですが、10月5日分の記事として掲載しておきます。岩波現代文庫の一冊として、岩波書店より2012年6月に刊行されました。表題と少し読んだ印象からは、かなり内容が薄いのではないか、との懸念もあったのですが、本村氏の一般向け著作ということで購入して読んでみることにしました。本書は、新聞や雑誌などに掲載された著者の文章を加筆訂正してまとめたものとのことで、随筆集的な性格が強くなっています。それだけに、各随筆を年代順に並べて通史的な構成にするなど工夫も見られるものの、やや散漫なところがありますし、内容自体も、つまらないとまでは言えないにしても、薄いところがあるのは否定できません。正直なところ、『ローマ人に学ぶ』に続いて、本村氏の一般向け著作としては外れでした。
https://sicambre.seesaa.net/article/201204article_18.html
もっともこうした感想は、本村氏の一般向け著作ということで私が過大に期待してしまったということと、私がこれまで本村氏の一般向け著作をそれなりに読んできたため、本書を読んでも新鮮なところがあまりなかったためでもあるでしょうから、はじめて本村氏の著作を読む人は楽しめるかもしれません。著者の一神教への厳しい評価については、これまで同意することが多かったのですが、戦争もテロも凄惨を極めるのは一神教の世界と相場が決まっている、との本書での見解(P17)については、現代日本社会で影響力を及ぼしている通俗的な宗教観に近づきすぎている感があり、疑問が残ります。
https://sicambre.seesaa.net/article/201204article_18.html
もっともこうした感想は、本村氏の一般向け著作ということで私が過大に期待してしまったということと、私がこれまで本村氏の一般向け著作をそれなりに読んできたため、本書を読んでも新鮮なところがあまりなかったためでもあるでしょうから、はじめて本村氏の著作を読む人は楽しめるかもしれません。著者の一神教への厳しい評価については、これまで同意することが多かったのですが、戦争もテロも凄惨を極めるのは一神教の世界と相場が決まっている、との本書での見解(P17)については、現代日本社会で影響力を及ぼしている通俗的な宗教観に近づきすぎている感があり、疑問が残ります。
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