大河ドラマ『平清盛』の今後

 まだ日付は変わっていないのですが、10月31日分の記事として掲載しておきます。大河ドラマ『平清盛』は第42回まで放送されており、残りは8回となります。ネットでのこの作品の評判はたいへん悪く、とくにこの時代の研究者たちの間では酷評されており、誉めているのは時代考証担当の本郷和人氏くらいです。こうした批判・酷評は、ネットで声の大きな人が発言しているから目立っているだけだ、というわけでもなさそうで、大河ドラマとしては前代未聞の低視聴率ですから、多くの視聴者の見解とも通ずるところがあるのかもしれません。

 もっとも私にとっては、当然のことながら色々と不満もあるものの、本放送の大河ドラマとしては2007年放送の『風林火山』以来久々に熱中できる作品になっており、最終回が近づきつつある今は、楽しみつつも寂しさも感じています。大河ドラマとしては前代未聞の低視聴率になっている『平清盛』ですが、関係者ではない一視聴者の私にとっては、視聴意欲を削がれる要因にはまったくなりません。ただ、この低視聴率が大河ドラマ不要論の勢いを強めそうなのが不安ではあり、その意味で、来年の大河ドラマ『八重の桜』の視聴率が高いことを願っています。

 『平清盛』にかなりはまったので、大河ドラマとしては初めて小説版を購入しましたが、最近になって完結編の第四巻が発売され、一気に読み終えました。小説と本放送とでは色々と違いもあるでしょうが、小説を読んだ限りでは、終盤になって回想が多いことが気になります。小説を読むと、これらの回想は尺稼ぎではなく、初回からの物語のつながりを強調するためというか、伏線回収のためなのだろう、と思うのですが、映像化すると、間延びしたものになるのではないか、との懸念もあります。

 話自体は、全体的にはなかなか面白くなっていますが、最後の幻想的な場面をどう映像化するのか、あるいは省くのか、気になるところではあります。このブログは、本・漫画(実質的には『イリヤッド』と『ヒストリエ』しか対象にしていませんが)・ドラマについてはネタバレ全開だと断っていますが、いかに過疎ブログとはいえ、さすがにまだ詳細に内容を公開するのは妥当でないでしょうし、何よりも、詳細に紹介するだけの気力もないので、以下、気になったことについて箇条書きにしていきます。


●主要人物の一人であるはずの西行の存在感が、出家後は希薄であることがずっと気になっていたのですが、終盤では西行の見せ場が多いようです。頼朝と西行との有名な逸話も描かれるようです。

●禿の長である羅刹は殺されたのかと思っていたのですが、生きており、最終回にて、熱心な視聴者には想像のつきやすそうな役で再登場するようです。

●経宗の出番は割と多そうなので楽しみなのですが、ますます戯画化されそうなのが不安でもあります。

●徳子(建礼門院)については、『玉葉』に記載されたおぞましい噂が物語に取り入れられるようです。大河ドラマでは主人公の美化がよく問題視されますが、逆に、不必要に主人公を貶めるべきでもないでしょう。正直なところ、この噂を物語に取り入れたのは失敗だったように思います。また、大原御幸は描かれず、後白河院の最後の登場場面は頼朝との対面になるようです。

●義経と弁慶の最期も描かれるようです。

●頼朝の視点がどうもよく分からなくなりました。当初は、壇ノ浦での戦勝の報せが届いた直後の回想ということなのかな、とも思っていたのですが、最終回では自分の死後についての言及もありました。これならば、NHKのアナウンサーが現代の視点から語ったほうがよいのではないか、と思います。

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