チャンピオンステークス、菊花賞結果

 昨日、イギリスのアスコットでは、無敗の名馬フランケルの引退レースということで大いに注目されたチャンピオンステークスが行なわれました。フランケルが出走してきたということもあってか、近年のチャンピオンステークスでは少頭数の6頭立となりました。レースは、出遅れたフランケルが道中は4番手で進み、最後の直線で楽に先頭に立ったのですが、そこから昨年の勝ち馬シリュスデゼーグルが粘り、フランケルはいつものように大差をつけるというわけにはいかなかったものの、1馬身3/4差をつけて勝ち、無敗のまま引退することになりました。

 フランケルの鞍上のクウィリー騎手は、今回は最後まで激しく追っており、やや焦ったところもあったかもしれません。並の馬であれば、1馬身3/4差の完勝というところでしょうが、この着差では物足りなく思えてしまうのが、フランケルの凄さと言うべきでしょうか。フランケルの「苦戦」の理由は、出遅れたことではなく、馬場が苦手と言われてきた道悪になったことではないか、と思いますが、あるいは、もう全盛期を過ぎてしまった、ということなのかもしれません。同じく昨日アスコットで行なわれたクイーンエリザベスII世ステークスでは、フランケルに5戦5敗(2着4回、3着1回)のエクセレブレーションが2着のシティスケープに3馬身差をつけて完勝し、改めてフランケルのマイル路線での圧倒的強さが印象づけられました。

 1回か2回、強い相手に大差をつけて勝つという馬はそれなりにいますが、フランケルのように、とくに弱いというわけでもない相手にほぼ毎回大差をつけて勝つのは、能力限界値と安定性の高さがなければ無理であり、イギリスでしか走っていないとはいえ、マイル路線ではフランケルは史上最強馬候補の1頭でしょう。フランケルが中距離でも強いことは明らかですが、インターナショナルステークスを圧勝したとはいえ、苦手とされる道悪だったにしても、昨日のチャンピオンステークスを見ると、中距離では史上最強馬候補とは言えないかな、とも思います。ヨーロッパの流行血統の結晶のようなフランケルは、種牡馬としては配合の選択肢が狭まって苦戦するかもしれませんが、歴史的名馬だけに、種牡馬としても成功してもらいたいものです。

 本日、京都では菊花賞が行なわれ、日本ダービー馬ディープブリランテの回避により、皐月賞馬ゴールドシップが断然の1番人気になりました(単勝オッズ1.4倍)。レースは、緩むことなく厳しい流れで進んでいき、持久力が問われたように思います。ゴールドシップは、スタート自体はよかったにも関わらず相変わらずのズブさを見せて後方から進んでいき、遅い流れというわけではないのに、向こう正面で上がっていって4角では3番手につけ、後続の追撃を振り切り、2着のスカイディグニティに1馬身3/4差をつけて勝ちました。長距離戦に相応しい持久力の問われるレースで、長距離適性のある強い馬が自分から勝ちにいってそのまま押し切ったという、見ごたえのあるレースになったように思います。

 ゴールドシップが勝ったのは嬉しく、痛快な強い勝ち方だったとは思うのですが、このようなミスターシービーの菊花賞以上の強引な競馬は、日本では今日のように圧倒的な力の差がある場合にしか通用しないだろう、ということも否定できないでしょう。もっとも、ヨーロッパではゴールドシップも今日のように前につけられないということはなさそうですから、ヨーロッパの本格的な力の競馬のほうに適性があるのではないか、とも言えそうで、来年はフェノーメノとともに凱旋門賞に出走してもらいたいものです。ただ、オルフェーヴルやフェノーメノとは異なり、ゴールドシップは社台グループの生産馬ではないので、海外遠征にあたってオルフェーヴルの時のように準備を整えられるのか、心配ではあります。私がリアルタイムで見た皐月賞・菊花賞の二冠馬でその後大レースを勝ったのはミホシンザンだけですし、ヒシミラクルのようなズブさも見られますから今後に不安も残りますが、ゴールドシップには、今後さらに大レースを勝ってもらいたいものです。

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