アメリカ大陸への3回の移住の波
まだ日付は変わっていないのですが、8月17日分の記事として掲載しておきます。アメリカ大陸への人類の移住についての研究(Reich et al., 2012)の要約を読みました。アメリカ大陸の先住民の起源に関する議論の一つは、シベリアからの単一の移住だったのか、それも複数の移住があったのか、というものです。この研究ではじゅうらいよりも高精度の分析が目指され、52のアメリカ先住民集団と17のシベリア人集団の一塩基多型が比較されました。その結果、アジアからアメリカ大陸への移住の波は少なくとも3回あり、ほとんどのアメリカ大陸の先住民は単一の祖先集団の子孫だと推定され、この研究ではその単一の祖先集団が「最初のアメリカ人」と呼ばれています。
少数派となりますが、「最初のアメリカ人」以外の移住者の遺伝的影響を受けている先住民集団もあり、北極のエスキモーアリュート語族はほぼ半分がアジアからの第二波の移住民の遺伝子を継承しており、カナダのナ-デネ語話者のチペイワン人は、第三波の移住者からの遺伝子を約1/10を継承しています。また、アメリカ大陸への最初の移住は海岸沿いに南方へと展開していき、とくに南アメリカ大陸では、集団が連続的に分かれていき、分岐後の遺伝子流動がごく小さかったことも推定されます。アメリカ大陸への移住の詳細については、この研究のように今後も遺伝学的研究が大いに寄与しそうです。
参考文献:
Reich D. et al.(2012): Reconstructing Native American population history. Nature, 488, 370–374.
http://dx.doi.org/10.1038/nature11258
少数派となりますが、「最初のアメリカ人」以外の移住者の遺伝的影響を受けている先住民集団もあり、北極のエスキモーアリュート語族はほぼ半分がアジアからの第二波の移住民の遺伝子を継承しており、カナダのナ-デネ語話者のチペイワン人は、第三波の移住者からの遺伝子を約1/10を継承しています。また、アメリカ大陸への最初の移住は海岸沿いに南方へと展開していき、とくに南アメリカ大陸では、集団が連続的に分かれていき、分岐後の遺伝子流動がごく小さかったことも推定されます。アメリカ大陸への移住の詳細については、この研究のように今後も遺伝学的研究が大いに寄与しそうです。
参考文献:
Reich D. et al.(2012): Reconstructing Native American population history. Nature, 488, 370–374.
http://dx.doi.org/10.1038/nature11258
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