アウストラロピテクス=セディバの食性
アウストラロピテクス=セディバの食性についての研究(Henry et al., 2012)が報道されました。南アフリカで発見されたセディバについては、以前このブログで取り上げたことがありますが(関連記事1、および関連記事2)、アウストラロピテクス属に分類されたものの、ホモ属的な特徴も有しているということもあり、大いに注目されています。この研究では、安定同位体分析、歯の微小な摩耗パターンの分析、歯石から抽出した植物微化石の分析が組み合わされました。その結果、セディバが木の葉・果実・樹皮などを食べていることが明らかになり、セディバは森林環境に住んでいたと考えられます。セディバは、腕が長く木に登るのに適した手首をもっていることから、解剖学的にも森林環境への適応を示しています。
セディバが食べていた植物のなかには種類を特定できたものがあり、どの部位なのかということまでは区別できなかったものの、ヤシのプラントオパールが確認されたそうです。これまで、人類の進化に関わるプラントオパールの研究でおもに対象となったのは、人類史において新しい時期に出現したネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)や現生人類(ホモ=サピエンス)だったとのことですが、今後、初期ホモ属やホモ属以前の人類をも対象として、人類の進化についてさらなる知見を蓄積していく道が開けてきたという意味で、意義深いと言えそうです。セディバが存在していた頃は、初期ホモ属やパラントロプス属などさまざまな系統の人類がいて、環境への適応もそれぞれ異なったところがあり、人類の多様性が高かった時代だと言えるかもしれません。
参考文献:
Henry AG. et al.(2012): The diet of Australopithecus sediba. Nature, 487, 90-93.
http://dx.doi.org/10.1038/nature11185
セディバが食べていた植物のなかには種類を特定できたものがあり、どの部位なのかということまでは区別できなかったものの、ヤシのプラントオパールが確認されたそうです。これまで、人類の進化に関わるプラントオパールの研究でおもに対象となったのは、人類史において新しい時期に出現したネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)や現生人類(ホモ=サピエンス)だったとのことですが、今後、初期ホモ属やホモ属以前の人類をも対象として、人類の進化についてさらなる知見を蓄積していく道が開けてきたという意味で、意義深いと言えそうです。セディバが存在していた頃は、初期ホモ属やパラントロプス属などさまざまな系統の人類がいて、環境への適応もそれぞれ異なったところがあり、人類の多様性が高かった時代だと言えるかもしれません。
参考文献:
Henry AG. et al.(2012): The diet of Australopithecus sediba. Nature, 487, 90-93.
http://dx.doi.org/10.1038/nature11185
この記事へのコメント