大河ドラマ『平清盛』第30回「平家納経」

 まだ日付は変わっていないのですが、7月30日分の記事として掲載しておきます。今回は平家納経の話に基盛の急死と崇徳院の怨霊化・崩御の話が関わって物語が展開しました。あらすじを読むと、この作品では崇徳院が朝廷にたいして深い恨みを抱いたという説が採用されると分かったので、注目は、崇徳院の怨霊化がどのように映像化されるのか、ということだったのですが、崇徳院が怨霊化する契機となった、崇徳院が朝廷に送った写経が送り返されるという事件に、後白河院と滋子(建春門院)との間の皇子(憲仁親王、後の高倉帝)が無邪気に写経を破るという話が付け加えられました。讃岐での穏やかな日々と怨霊化後の対照性の強調とともに、なかなか上手い創作だったように思います。

 写経が破られた状態で送り返された崇徳院のもとに、長男で保元の乱後に出家した重仁親王が亡くなったとの報せが届きます。保元の乱後に、生まれてからというもの、何一つ思うままにならないことを崇徳院が嘆く場面が描かれましたが(第22回)、作中では、政治に積極的に関わろうとして時の治天の君である鳥羽院に拒まれたことや、息子(養子)たる体仁親王(近衛帝)への譲位のはずが、騙されて弟への譲位になったことや、近衛帝崩御後、実子の重仁親王の皇位継承と自らが政治の実権を掌握することを期待していたのに、同母弟の雅仁親王が即位したこと(後白河帝)など、崇徳院の意に反することばかり続いてきたことが強調されていました。

 そのため、写経が破られて送り返されてきて、長男の重仁親王が亡くなったことが決定打となって、崇徳院が深い恨みを抱くようになった、という展開は物語のうえでは自然だったように思います。深い恨みを抱いた崇徳院は発狂したかのようになり、有名な「日本国の大魔縁となり、皇を取って民とし民を皇となさん」一節が出てくるわけですが、これ以降の崇徳の言動はたいへん不気味で迫力のあるものでした。ただ、この脚本・演出は好みというか評価の分かれそうなところです。この物語のこれまでの流れからすると無理はなかったものの、崇徳院は穏やかな晩年を過ごし、後に都の騒乱や不幸を崇徳院の側近だった藤原教長(再登場はあるのでしょうか?)が崇徳院の祟りと結びつけ、後の崇徳院怨霊伝説へといたった、というような物語のほうが私の好みに合っています。

 今回は、皇位継承をめぐる問題も描かれ、後白河院と滋子との間の皇子を皇太子にしようと時忠たちが画策し、解官された事件も描かれました。この時期、清盛は後白河院と積極的に敵対しようとしていたわけではもちろんなく、親密な関係を築こうと考えていたのでしょうが、妻の時子が二条帝の乳母ということもあり、基本的には二条帝を支える立場にあったように思います。関白の基実と清盛の娘である盛子との婚姻も描かれ、保元の乱で一大権門としての摂関家の武力は解体され、摂関家当主としての地位をやっと確立した忠通はその後、有力武門と深い関係を有した信頼と、屈辱を受けつつも提携したものの、信頼が平治の乱で処刑されたため、摂関家にとって別の武門との新たな提携が必要になっていた、という事情があるのでしょう。もっとも、作中ではそこまで説明されたわけではありませんが。それにしても、基実は老けすぎですねぇ・・・。

 基盛の死は崇徳院の怨霊化と関わって平家納経の重要な契機となったものの、予想よりもあっさりと描かれましたが、作中ではこれまでそれほど重要な役割を担ったわけではないので、仕方のないところでしょうか。平家納経作成の過程は、映像的にはかなり見応えがありましたが、選曲には問題があったように思います。第6回の海賊討伐の話の時ほどではないかもしれないものの、かなりの予算が投じられているようですが、第6回よりもずっと有意義な予算の使い方だった、と思います。今回は、崇徳院の怨霊化と平家納経の話を中心に、なかなか面白くなっていましたし、今後の日宋貿易の展開への布石も描かれて、第二部の最終回としてはよかったと思います。次回から第三部となり、第三部では頼朝が本格的に描かれるようですが、予告を見たかぎりでは、演技に不安が残ります。

この記事へのコメント

みら
2012年07月31日 00:53
こんばんは、かろうじてupしましたね、柔道も正念場で、まるで因縁いわくつきの判定に目が離せる状態ではありませんでしたが、そんな事態も定時からのスタートと大差ない視聴率に、新規固定ファンもいるかなーと思いました、キャスト若返りも、若い世代の支持を受けているのかな、TwitterLIVE崇徳院の出演とか、企画も良かったのかもしれませんねね。
崇徳院の最期は、劉さんの好みの終わり方が私も同感で、つい映像の効果にあやうくのまれてしまうところでしたが、好みのほうが、史実に近いのてはないかと、この御意見にて気がつきました。
毎回美術制作は映画並みで、今回の怨霊はこえーわ笑。
人を怨むって恐ろしい…。でも最期は人にもどり果てる。
この、闇の時代はこーんな怨霊いたんだと思う笑。
ある意味小沢氏の人相とか悪霊的ではある。
人間は、欲せず恨まず自然に生きたいですわー。

西行は何故いきなりあの場にいたのか不明だ。
兎のひとことで遷都になるとは…このあたりはおもしろいー。
来週…K大教授夫人の松田聖子の出演もややコメディちっくなのかなとやや不安です。
YoYo
2012年07月31日 22:15
まことに仰るとおりで崇徳院の演出は好みや評価が分かれると思いました。
個人的には「何もそこまでせいでもよかろうに …」と思いました。
ただ、もしかすると、俳優さんの力量によっては、あの演出に説得力が生まれたのではとも思った次第です(決して嫌いな俳優さんではありません。他のドラマのときにとても素敵だと思いました)。
2012年07月31日 23:50
視聴率は最近ずっと誤差の範囲内で推移しているように思います。私のような固定層が一定数以上いるのでしょう。

崇徳院は、最期の演出について評価が分かれそうですが、全体的にはかなりよかったのではないか、と思います。待賢門院・鳥羽院・頼長・崇徳院と強烈な印象を残した人が去っていき、寂しくなります。
みら
2012年08月02日 00:02
こんばんは

先日玉木さんと由良御前が上司と部下の番組があって、なんだか笑ってしまいました。

一週間空いた後はいよいよ源氏に沿った展開になるんですね。
この時代も戦国同様短期間で政変があり、生活難と天災続出でひどく荒れた時代だたのだとわかってきました。

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