新たなセディバの化石

 アウストラロピテクス=セディバと考えられる新たな化石が発見された、と報道されました。セディバについては、このブログで何度か取り上げていますが(関連記事1関連記事2関連記事3)、セディバには、アウストラロピテクス属と共通する原始的特徴と、ホモ属と共通する派生的特徴との混在が認められ、その年代が200万年前頃であることから、発見チームはセディバがホモ属の祖先ではないか、と考えているようです。ただ、この見解は広く支持されているわけではなさそうで、私も、セディバと同年代にホモ属もしくはその祖先が別に存在したのではないか、と考えています。

 セディバの人類進化上の位置づけはさておき、この報道についてですが、2008年に南アフリカの洞窟で採集され、ウィットウォータースランド大学の研究室で保管されていた岩に、小さな歯があることに先月一人の大学院生が気づきました。そこで、最新のスキャン装置を使って岩の内側を確認したところ、顎の骨の一部、完全な状態の腿の骨1本、肋骨と脊柱の複数の骨、さらにおそらくは手足の骨も含まれていることが判明した、とのことです。研究チームは、この岩にある化石が過去に発掘したセディバの少年の骨の残りであり、さらに別個体の骨が発見される可能性もある、と考えています。ひじょうに貴重な発見なので、研究の進展が大いに期待されます。

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