ヤコヴ=M=ラブキン著、菅野賢治訳 『イスラエルとは何か』
平凡社新書の一冊として平凡社より2012年6月に刊行されました。本書は、著者の以前の著作である『トーラーの名において─シオニズムに対するユダヤ教の抵抗の歴史』(平凡社、2010年、本書と同じく菅野賢治訳)のフランス語オリジナル原稿を大幅に圧縮し、新たに4章を加えた一般向け書籍とのことです。そのため本書は、ユダヤ教の側からのシオニズムにたいする批判に重点が置かれており、シオニズムが伝統的なユダヤ教およびその解釈の延長線上にあるのではなく、むしろユダヤ教を否定して成立・発展してきたのであり、伝統的なユダヤ教とシオニズムとの乖離が強調されています。
正直なところ、新書にしてはくどいところが多分にあるのですが、この問題には疎い私には得るところが多々あり、読んで正解だった、と思った一冊になりました。伝統的なユダヤ教とシオニズムとの乖離を強調する本書は、シオニズムが近代ヨーロッパにおけるナショナリズムの延長線上にあり、なかでもロシア・東ヨーロッパにおける政治・社会的状況の影響を大きく受けたというか、それに規定されたところが多分にあったことを指摘しています。また本書は、シオニズムが近代ヨーロッパの植民地主義的性格を今も色濃く残しており、その本質主義的な価値観がナチズムをはじめとする近代ヨーロッパの自民族中心主義と親和的であることも指摘しています。
全体的に本書は、ナショナリズム・植民地主義などの近代ヨーロッパにおける価値観の悪しき部分を今でもシオニズムが保持しており、克服できていないことを糾弾する論調になっています。ただ、伝統的なユダヤ教解釈がシオニズムに否定的なことが強調されていますが、シオニズムと調和的な、本書でいうところ「民族ユダヤ教」の動向とその論理について、あまり説明がなかったのはやや残念ではあります。伝統的ユダヤ教からのシオニズム批判の動向は、なぜか一時期(ではなく今でも根強いのかもしれませんが)胡散臭いユダヤ陰謀論が流行した日本において、もっと知られるべきでしょうから、本書が日本で刊行された意義は大きいのではないか、と思います。
正直なところ、新書にしてはくどいところが多分にあるのですが、この問題には疎い私には得るところが多々あり、読んで正解だった、と思った一冊になりました。伝統的なユダヤ教とシオニズムとの乖離を強調する本書は、シオニズムが近代ヨーロッパにおけるナショナリズムの延長線上にあり、なかでもロシア・東ヨーロッパにおける政治・社会的状況の影響を大きく受けたというか、それに規定されたところが多分にあったことを指摘しています。また本書は、シオニズムが近代ヨーロッパの植民地主義的性格を今も色濃く残しており、その本質主義的な価値観がナチズムをはじめとする近代ヨーロッパの自民族中心主義と親和的であることも指摘しています。
全体的に本書は、ナショナリズム・植民地主義などの近代ヨーロッパにおける価値観の悪しき部分を今でもシオニズムが保持しており、克服できていないことを糾弾する論調になっています。ただ、伝統的なユダヤ教解釈がシオニズムに否定的なことが強調されていますが、シオニズムと調和的な、本書でいうところ「民族ユダヤ教」の動向とその論理について、あまり説明がなかったのはやや残念ではあります。伝統的ユダヤ教からのシオニズム批判の動向は、なぜか一時期(ではなく今でも根強いのかもしれませんが)胡散臭いユダヤ陰謀論が流行した日本において、もっと知られるべきでしょうから、本書が日本で刊行された意義は大きいのではないか、と思います。
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