さかのぼる土器の起源

 世界最古になりそうな土器についての研究(Wu et al., 2012)が報道されました。この研究では、中国江西省の仙人洞窟(Xianrendong)で発見された土器が詳細に分析されました。これらの土器の多くには焦げた跡があり、放射性炭素年代法で測定したところ、暦年代で20000~19000年前頃となり、現時点では世界最古の土器と言えそうです。土器の使用は農耕の開始の10000年以上前に始まり、発見された土器の多くには焦げた跡があることから、調理に用いられたのではないか、と研究チームは推測しています。

 これまで世界最古の土器は、中国湖南省道県の玉蟾岩洞窟で発見された18300~17500年前頃のものとされていましたが(関連記事)、さらにさかのぼることになりそうです。現時点での証拠からすると、日本列島での土器の使用もかなり早いと言えそうで、土器の使用はいわゆる極東で始まった可能性が高そうです。そこからさらに絞り込むことは、現時点では難しいのですが、おそらく土器は単一起源ではなく、多起源だったのではないか、と思います。もっとも、今後アフリカではるかに古い土器が発見される可能性もあるかな、とは思いますが。


参考文献:
Wu X. et al.(2012): Early Pottery at 20,000 Years Ago in Xianrendong Cave, China. Science, 336, 6089, 1696-1700.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1218643

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