さかのぼるアフリカでの酪農の起源
現代ではサハラ砂漠となっている地域における酪農の年代についての研究(Dunne et al., 2012)が公表されました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用ですが、現時点ではアフリカ最古の酪農の明確な証拠となるそうです。現代ではサハラ砂漠となっている地域が、かつては砂漠ではなく、植物が豊かだった時期もあることはよく知られているでしょう。この研究で調査された遺跡のある地域も、かつては植物が豊かで酪農も行われていたようであり、当時この地域で暮らしていた住民にとって、牛が重要な役割を果たしていたのではないか、と示唆されています。当時の「緑のサハラ」において、牛や牧畜がどれだけ重要な役割を果たしたかは、今後の発見・研究の進展によりしだいに明らかになるでしょうし、今後発掘が進めば、アフリカでの酪農の起源はさらにさかのぼる可能性が高いでしょう。
「緑のサハラ」での酪農を調べる:アフリカでの最初の乳製品使用は紀元前5千年紀頃であることが、陶器に残った残渣の年代測定から明らかになった
表紙の岩絵は、家畜化したウシを描いた8000~5000年前のもので、リビアサハラのタドラット・アカクス山地にあるWadi Imhaで発見された。搾乳の風景を含むものまであるこうした絵は、この地域に広く見られ、完新世の「緑のサハラ」で暮らしていた古代人の生活でウシが重要な役割を果たしていたことを示唆している。だが、岩絵の年代測定が困難であることは、広く知られている。今回J Dunneたちは、ローマ大学サピエンツァ校の考古学調査隊がリビアサハラのTakarkori岩石壕で発掘した陶器に吸収されていた食物残渣の同位体分析の結果を用いて、紀元前5千年紀という先史時代のアフリカの考古学的記録の中で酪農を示す最古の明確な化学的証拠を発見したことを報告している。この知見は、家畜化したウシや酪農経済が、古代サハラの牧畜中心の生活に存在していたことを裏付けている。(Letter p.390)
参考文献:
Dunne J. et al.(2012): First dairying in green Saharan Africa in the fifth millennium bc. Nature, 486, 390–394.
http://dx.doi.org/10.1038/nature11186
「緑のサハラ」での酪農を調べる:アフリカでの最初の乳製品使用は紀元前5千年紀頃であることが、陶器に残った残渣の年代測定から明らかになった
表紙の岩絵は、家畜化したウシを描いた8000~5000年前のもので、リビアサハラのタドラット・アカクス山地にあるWadi Imhaで発見された。搾乳の風景を含むものまであるこうした絵は、この地域に広く見られ、完新世の「緑のサハラ」で暮らしていた古代人の生活でウシが重要な役割を果たしていたことを示唆している。だが、岩絵の年代測定が困難であることは、広く知られている。今回J Dunneたちは、ローマ大学サピエンツァ校の考古学調査隊がリビアサハラのTakarkori岩石壕で発掘した陶器に吸収されていた食物残渣の同位体分析の結果を用いて、紀元前5千年紀という先史時代のアフリカの考古学的記録の中で酪農を示す最古の明確な化学的証拠を発見したことを報告している。この知見は、家畜化したウシや酪農経済が、古代サハラの牧畜中心の生活に存在していたことを裏付けている。(Letter p.390)
参考文献:
Dunne J. et al.(2012): First dairying in green Saharan Africa in the fifth millennium bc. Nature, 486, 390–394.
http://dx.doi.org/10.1038/nature11186
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