大河ドラマ『平清盛』第24回「清盛の大一番」
今回から後半に入った感があり、重盛・基盛・守仁親王(二条帝)・重盛の妻の経子が今回から成人役となり、一気に出演者が変わった感があります。また頼朝も、幼少期から少年期へ交代となります。語りも務める頼朝の成人役は、第31回「伊豆の流人と京の巨人」から登場予定とのことです。前回にて、伊勢平氏一門の棟梁に相応しい人物への最後の関門とも言うべき、清盛による叔父の忠正の斬首が描かれたことにより、今回の清盛はすっかり棟梁らしくなりました。
正直なところ、もっと前から棟梁らしく器が大きくて魅力的なところも描いてもらいたかったのですが、今後は、平治の乱での義朝との一騎討ちなど一部をのぞいて、基本的に清盛は棟梁に相応しい振る舞いをする大人物として描かれるようです。今回は、清盛が時の権力者信西と、互いに利用しあう形で協調していき、伊勢平氏一門の地位を高めていく様が描かれます。じっさいには、清盛は信西一辺倒ではなかったようですが、それはともかくとして、重盛は父と信西との関係に釈然としない様子です。おそらく、正盛と忠盛、忠盛と清盛の時がそうだったように、現実的な父と若者らしい正義感の強い息子という対比が、伊勢平氏一門の特徴として意図的に描かれているということなのでしょう。
そうした父である清盛へのわだかまりがあるのか、重盛は清盛が勧めてきた経子との縁談に乗り気ではなく、婚礼の儀で経子との結婚を断ろうとします。清盛はかつて、当時の伊勢平氏よりも低い家柄の出身である明子と結婚しようとして、伊勢平氏にとって大事な時期である、と家貞から忠告されたことがありました(第7回)。その清盛が、今回は重盛に経子との結婚の話を持ちかけたときに、重盛にたいして同様に諭しており、清盛の成長が明示されるという話の構造になっていて、よく計算された脚本だな、と思います。婚礼の儀で経子との結婚を断ろうとした重盛ですが、棟梁として覚醒した清盛は甘い考えの重盛を一喝し、重盛も覚悟を決めます。
今回から成人役での登場となる経子はすでに何回か登場していますが、藤原家成の娘で成親の妹であり、家柄は申し分ありません。明子の長男である重盛には、父の勧めるままに家柄の申し分ない経子と結婚してよいものか、という疑問もあったのでしょう。経子役の高橋愛氏は、今回はあまり台詞がありませんでしたが、演技は懸念していたほどではなくまずまずよくて、公式サイトで見た写真よりは美しく見えました。美人は素直にその容貌を活かすのがよいと思います。重盛の同母弟の基盛も今回から成人役が登場しましたが、少年役の時と同じく、生真面目な重盛とお調子者で要領のよい基盛という対比で人物造形がなされるようです。対照的な兄弟ですが、母を同じくするということもあってか、重盛にとって基盛は気安く相談のできる相手のようです。気になったのは、重盛・経子の婚礼の儀が相撲節会と同日だったことですが、このようなことがあり得たのか、調べるのは難しそうなので、後日の課題としておきます。
天皇家では、美福門院(得子)が自分の養子である皇太子守仁親王を連れて後白河帝と面会し、皇太子に譲位するよう圧力をかけていました。しかし、ひねくれ者の後白河帝はこれを拒絶します。守仁親王は後白河帝の長男なのですが、美福門院の養子として育ったということもあってか、父との関係は良好とは言い難いようで、父子ともにお互いに親子の情があまりないような感じです。史実でも、両者の関係には対立的なところが多分にあったようです。おそらくじっさいには、後白河帝は中継ぎであり、天皇として振る舞うための教えもほとんど受けておらず、信西など院近臣層に政治的主導権を握られていたでしょうから、信西と美福門院の意向により、当初の予定通り守仁親王への譲位が、後白河帝の大きな抵抗もなく実現したのだろう、と思います。
ところが、皇太子への譲位を拒否していた後白河帝は相撲節会の後、相撲節会での清盛の功績・宋の茶を出すという新規な趣向に刺激されたのか、より制約の少ない立場で清盛と「遊ぼう」として、守仁親王への譲位を決意します。後白河帝は、今後もずっと気まぐれな存在として描かれるようです。今回から成人役で登場した守仁親王の演技については、『つばさ』での主人公の弟役を思い出してかなり不安視していたのですが、声が『つばさ』の頃とあまり変わっておらず、今後が心配になります。今後はなんとか、賢帝としての雰囲気を醸し出してもらいたいものですが。相撲節会では、すでに報道されていた通り、豊真将関が出演しましたが、出演時間が少なかったのは残念でした。
河内源氏では、今回から頼朝の少年役が登場しました。なかなか意志が強く利発そうな感じが出ており、よいと思います。頼朝の母の由良御前は、後白河帝の同母姉である統子内親王(上西門院)に仕えており、その縁で頼朝も官職を得ました。この関係が平治の乱での頼朝の助命の要因になった可能性が高いのではないか、と私は思うのですが、案内本後編のあらすじを詠んだ限りでは、頼朝の助命に統子内親王は関わってこないようです。本放送ではどうなるでしょうか。
父を斬首したにも関わらず(じっさいに斬首したのは家人の鎌田正清ですが)、望みどおりには出世していない義朝は焦りを見せ、小物感が漂うようになります。焦った義朝が清盛と同等の官位を望んだという話が描かれましたが、両者の祖父の世代(為義の父については異説もありますが)以降、河内源氏と伊勢平氏の間の都での政治的地位には大きな差があり、保元の乱の直前の時点でも、義朝と清盛の官位には大きな差がありましたから、義朝の主観という問題もあるものの、想定しにくい話のように思います。貴族間の噂話や信西と師光(西光)および義朝と清盛の会話もそうでしたが、後世の源平対等史観が反映されてしまっているのではないでしょうか。義朝を清盛にとって好敵手として位置づけるというのが物語の基本的な構造になっているだけに、仕方のないところはありますが。
このところ重い話が続いていたのですが、今回は気楽に視聴できた感があります。次回は平治の乱の直前までが描かれるようで、平治の乱はまた重い話になりますから、このような構成でよいと思いますし、清盛が棟梁らしくなったということもあり、なかなか面白い回になっていたので、大きな不満はありません。ただ、崇徳院の讃岐への配流の道中、西行が申し訳程度に出演したことが気になります。重要人物なのですから、登場させる時はもっと意味のあるものにしてもらいたいものですが、あるいは、今回の登場も今後意味を持ってくるのかもしれず、気長に見ていこうと思います。
正直なところ、もっと前から棟梁らしく器が大きくて魅力的なところも描いてもらいたかったのですが、今後は、平治の乱での義朝との一騎討ちなど一部をのぞいて、基本的に清盛は棟梁に相応しい振る舞いをする大人物として描かれるようです。今回は、清盛が時の権力者信西と、互いに利用しあう形で協調していき、伊勢平氏一門の地位を高めていく様が描かれます。じっさいには、清盛は信西一辺倒ではなかったようですが、それはともかくとして、重盛は父と信西との関係に釈然としない様子です。おそらく、正盛と忠盛、忠盛と清盛の時がそうだったように、現実的な父と若者らしい正義感の強い息子という対比が、伊勢平氏一門の特徴として意図的に描かれているということなのでしょう。
そうした父である清盛へのわだかまりがあるのか、重盛は清盛が勧めてきた経子との縁談に乗り気ではなく、婚礼の儀で経子との結婚を断ろうとします。清盛はかつて、当時の伊勢平氏よりも低い家柄の出身である明子と結婚しようとして、伊勢平氏にとって大事な時期である、と家貞から忠告されたことがありました(第7回)。その清盛が、今回は重盛に経子との結婚の話を持ちかけたときに、重盛にたいして同様に諭しており、清盛の成長が明示されるという話の構造になっていて、よく計算された脚本だな、と思います。婚礼の儀で経子との結婚を断ろうとした重盛ですが、棟梁として覚醒した清盛は甘い考えの重盛を一喝し、重盛も覚悟を決めます。
今回から成人役での登場となる経子はすでに何回か登場していますが、藤原家成の娘で成親の妹であり、家柄は申し分ありません。明子の長男である重盛には、父の勧めるままに家柄の申し分ない経子と結婚してよいものか、という疑問もあったのでしょう。経子役の高橋愛氏は、今回はあまり台詞がありませんでしたが、演技は懸念していたほどではなくまずまずよくて、公式サイトで見た写真よりは美しく見えました。美人は素直にその容貌を活かすのがよいと思います。重盛の同母弟の基盛も今回から成人役が登場しましたが、少年役の時と同じく、生真面目な重盛とお調子者で要領のよい基盛という対比で人物造形がなされるようです。対照的な兄弟ですが、母を同じくするということもあってか、重盛にとって基盛は気安く相談のできる相手のようです。気になったのは、重盛・経子の婚礼の儀が相撲節会と同日だったことですが、このようなことがあり得たのか、調べるのは難しそうなので、後日の課題としておきます。
天皇家では、美福門院(得子)が自分の養子である皇太子守仁親王を連れて後白河帝と面会し、皇太子に譲位するよう圧力をかけていました。しかし、ひねくれ者の後白河帝はこれを拒絶します。守仁親王は後白河帝の長男なのですが、美福門院の養子として育ったということもあってか、父との関係は良好とは言い難いようで、父子ともにお互いに親子の情があまりないような感じです。史実でも、両者の関係には対立的なところが多分にあったようです。おそらくじっさいには、後白河帝は中継ぎであり、天皇として振る舞うための教えもほとんど受けておらず、信西など院近臣層に政治的主導権を握られていたでしょうから、信西と美福門院の意向により、当初の予定通り守仁親王への譲位が、後白河帝の大きな抵抗もなく実現したのだろう、と思います。
ところが、皇太子への譲位を拒否していた後白河帝は相撲節会の後、相撲節会での清盛の功績・宋の茶を出すという新規な趣向に刺激されたのか、より制約の少ない立場で清盛と「遊ぼう」として、守仁親王への譲位を決意します。後白河帝は、今後もずっと気まぐれな存在として描かれるようです。今回から成人役で登場した守仁親王の演技については、『つばさ』での主人公の弟役を思い出してかなり不安視していたのですが、声が『つばさ』の頃とあまり変わっておらず、今後が心配になります。今後はなんとか、賢帝としての雰囲気を醸し出してもらいたいものですが。相撲節会では、すでに報道されていた通り、豊真将関が出演しましたが、出演時間が少なかったのは残念でした。
河内源氏では、今回から頼朝の少年役が登場しました。なかなか意志が強く利発そうな感じが出ており、よいと思います。頼朝の母の由良御前は、後白河帝の同母姉である統子内親王(上西門院)に仕えており、その縁で頼朝も官職を得ました。この関係が平治の乱での頼朝の助命の要因になった可能性が高いのではないか、と私は思うのですが、案内本後編のあらすじを詠んだ限りでは、頼朝の助命に統子内親王は関わってこないようです。本放送ではどうなるでしょうか。
父を斬首したにも関わらず(じっさいに斬首したのは家人の鎌田正清ですが)、望みどおりには出世していない義朝は焦りを見せ、小物感が漂うようになります。焦った義朝が清盛と同等の官位を望んだという話が描かれましたが、両者の祖父の世代(為義の父については異説もありますが)以降、河内源氏と伊勢平氏の間の都での政治的地位には大きな差があり、保元の乱の直前の時点でも、義朝と清盛の官位には大きな差がありましたから、義朝の主観という問題もあるものの、想定しにくい話のように思います。貴族間の噂話や信西と師光(西光)および義朝と清盛の会話もそうでしたが、後世の源平対等史観が反映されてしまっているのではないでしょうか。義朝を清盛にとって好敵手として位置づけるというのが物語の基本的な構造になっているだけに、仕方のないところはありますが。
このところ重い話が続いていたのですが、今回は気楽に視聴できた感があります。次回は平治の乱の直前までが描かれるようで、平治の乱はまた重い話になりますから、このような構成でよいと思いますし、清盛が棟梁らしくなったということもあり、なかなか面白い回になっていたので、大きな不満はありません。ただ、崇徳院の讃岐への配流の道中、西行が申し訳程度に出演したことが気になります。重要人物なのですから、登場させる時はもっと意味のあるものにしてもらいたいものですが、あるいは、今回の登場も今後意味を持ってくるのかもしれず、気長に見ていこうと思います。
この記事へのコメント
今回は面白かったですね、久々に無駄なこと考えないで集中できてのめりこんでみてました。
・・・風林火山以来でしょうか。
高橋愛・・モー娘の?、言われてもわからない程の変身ぶりですが動作は可愛らしいですね。(劉さん的にはこういうのが「美女」なのね?笑)
ともかく、大河への鬱屈が薄れつつ・・ようやく私の中にこみ上げてくる「何か」がわいてきたような(笑)
視聴率を度外視すれば、総合的にも詳細部も手抜きの無い完成度の高い今年のドラマだと思うのですが、今回は見た人増えたでしょうか裏はどうだったのか?
UPしているといいな~
しかし、後白河は美しい・・・玉木は情けない・・。
マツケン動作に落ち着きがない・・。
史実の最期からして仕方ないのですが、あらすじを読むと義朝は今後ますます追い詰められていきます。第一部では主人公よりもずっと魅力的だっただけに、悲しくなります。
今夜は荒れ模様の天候で嫌ですね~。
ご無事にご帰宅出来てますか?
視聴率!ほんのわずかUPしましたね、良かったです~。
15%まだまだわかりませんよっ?超えるといいです。
玉木・・情けないイメージが似合うからまあいいか(笑)って、適役って事でしょうか。
・・高橋愛は、海外で『キレイな顔100人』に選ばれていたんですね、劉さんの審美眼は確かだったんですねっ(笑)
ところで、相撲節会があった日とかは、何の資料にのっているの?
相撲節会は、7月の行事だったらしいのですが、肝心の婚礼がいつなのかを調べるには、何をみたらわかるのかしら?
平家の日記ッて、誰が書いてるのかしらー?
そんなのあったら…創作脚本はいらないか笑。
あるんでしょうか?
うーん、そのとおりですね、投げ飛ばす対比としての同日設定でしょうね・・と、結論が先にわかっているのになぜ「後日の課題」としているのですか?
何やら最近、劉さんのレファレンスに応えるが如くネット検索をおこなっております、勉強になりますが幾分乗せられてる感が・・(笑)。
今日は「方丈記」展に行ってきました。ヒンヤリと冷房が効いていて快適な空間で、伝本比較のできる展示と解説が大変勉強になりました。
やはり正統な史資は圧巻です、素人にもわかりやすい某国立機関の研究成果は毎回勉強になります。
また、展示ケースの前面すべてに板が張り出してあって、荷物が置けるし手を添えて乗り出してみる事が出来るので、この工夫は表彰モノです!多分、筆記スペースとして設けてあるんでしょうが、他館でも真似て欲しいなって思いました。
節電を覚悟して冷却シートいっぱい貼って行ったら嬉しい誤算だったのも泣けた(笑)