イベリア半島にある旧石器時代の洞窟壁画の年代の見直し
昨日、このブログにて、スペインにある旧石器時代の洞窟壁画の年代が、じゅうらいの推定よりも古くなることを明らかにした研究が報道されたことを取り上げましたが、『サイエンス』に掲載された、その研究(Pike et al., 2012)と解説(Hellstrom., 2012)の要約を読みました。この研究は、ナショナルジオグラフィックでも取り上げられており、昨日このブログで取り上げた朝日新聞の報道では触れられていなかった、ネルジャ洞窟の壁画にも触れられています。
この研究の調査対象となったのは、スペイン北部のビスケー湾沿いにある11ヶ所の洞窟壁画です。この研究では、壁画表面に付着した方解石の年代がウラン系列年代測定法により調べられ、エルカスティーヨ洞窟の壁画の赤い点状の絵は、遅くとも40800年前にさかのぼる、と主張されています。イベリア半島北部でこの年代となると、現生人類(ホモ=サピエンス)とネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)のどちらが担い手なのか、現時点では確証がなく、この研究では、どちらの可能性もある、と指摘されています。
ただ、ナショナルジオグラフィックで引用されていますが、研究チームのリーダーであるアリスター=パイク博士は、遅くとも40800年前ということを強調し、年代測定に利用した方解石が壁画の描かれた数千年後に形成された可能性を指摘していますから、どちらかというと、壁画の一部はネアンデルタール人の所産である、という見解に傾いているようにも思います。かりに、ヨーロッパの洞窟壁画の一部の担い手がネアンデルタール人だとすると、古人類学の長年の常識を覆すことになりますので、この研究の進展には大いに期待しています。
参考文献:
Hellstrom J.(2012): Absolute Dating of Cave Art. Science, 336, 6087, 1387-1388.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1224185
Pike AWG. et al.(2012): U-Series Dating of Paleolithic Art in 11 Caves in Spain. Science, 336, 6087, 1409-1413.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1219957
この研究の調査対象となったのは、スペイン北部のビスケー湾沿いにある11ヶ所の洞窟壁画です。この研究では、壁画表面に付着した方解石の年代がウラン系列年代測定法により調べられ、エルカスティーヨ洞窟の壁画の赤い点状の絵は、遅くとも40800年前にさかのぼる、と主張されています。イベリア半島北部でこの年代となると、現生人類(ホモ=サピエンス)とネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)のどちらが担い手なのか、現時点では確証がなく、この研究では、どちらの可能性もある、と指摘されています。
ただ、ナショナルジオグラフィックで引用されていますが、研究チームのリーダーであるアリスター=パイク博士は、遅くとも40800年前ということを強調し、年代測定に利用した方解石が壁画の描かれた数千年後に形成された可能性を指摘していますから、どちらかというと、壁画の一部はネアンデルタール人の所産である、という見解に傾いているようにも思います。かりに、ヨーロッパの洞窟壁画の一部の担い手がネアンデルタール人だとすると、古人類学の長年の常識を覆すことになりますので、この研究の進展には大いに期待しています。
参考文献:
Hellstrom J.(2012): Absolute Dating of Cave Art. Science, 336, 6087, 1387-1388.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1224185
Pike AWG. et al.(2012): U-Series Dating of Paleolithic Art in 11 Caves in Spain. Science, 336, 6087, 1409-1413.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1219957
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