元木泰雄『平清盛と後白河院』
新潮選書の一冊として、新潮社から2012年3月に刊行されました。平清盛と後白河との関係を軸に、平安時代末期の政治史が詳しく解説されています。著者の他の著書や論考などを読んでいたので、著者の見解には馴染みがあり、違和感なく読み進められました。一般には、この時代の政治史は複雑で難しいと言われることが多いように思いますが、たとえばこの時代よりも一般的には人気・関心の高い時代である戦国時代と比較して、より複雑で難しいと言えるか疑問で、要は馴染み深さの問題なのではないか、とも思います。
本書は、平清盛と後白河が相互依存的に密接な関係を築いていき、両者がそれにより権威・権力を強めていった様と、皇位継承問題や人事権や地方の問題などをめぐって清盛と後白河との対立が強まっていき、治承三年政変での両社の決裂へといたる過程を、当時の政治状況を踏まえて分かりやすく解説しています。本書の特徴として挙げられるのが読みやすさで、平安時代末期の政治史についての一般向け概説書としてかなりの出来なのではないか、と思います。
今年の大河ドラマ『平清盛』などを契機として、平安時代末期の政治史に関心を持ち始めた人にはお勧めの一冊で、平安時代末期の政治史の面白さを堪能することができるでしょう。本書を読むと、今年の大河ドラマ『平清盛』も史実に忠実に描けばもっと面白くなりそうなのに、とつい考えてしまうのですが、一般向けとはいえ学術的な書物の面白さを、テレビドラマという映像の娯楽作品で表現することは、そう簡単なことではないだろうな、とも思います。
本書は、平清盛と後白河が相互依存的に密接な関係を築いていき、両者がそれにより権威・権力を強めていった様と、皇位継承問題や人事権や地方の問題などをめぐって清盛と後白河との対立が強まっていき、治承三年政変での両社の決裂へといたる過程を、当時の政治状況を踏まえて分かりやすく解説しています。本書の特徴として挙げられるのが読みやすさで、平安時代末期の政治史についての一般向け概説書としてかなりの出来なのではないか、と思います。
今年の大河ドラマ『平清盛』などを契機として、平安時代末期の政治史に関心を持ち始めた人にはお勧めの一冊で、平安時代末期の政治史の面白さを堪能することができるでしょう。本書を読むと、今年の大河ドラマ『平清盛』も史実に忠実に描けばもっと面白くなりそうなのに、とつい考えてしまうのですが、一般向けとはいえ学術的な書物の面白さを、テレビドラマという映像の娯楽作品で表現することは、そう簡単なことではないだろうな、とも思います。
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