大河ドラマ『平清盛』第14回「家盛決起」
今回は冒頭の今日の見どころがありませんでしたが、やはり不評なので廃止になったのでしょうか。このブログでも何度か述べましたが、冒頭では数分程度歴史解説を入れるのがよいように思います。今回は、家盛が伊勢平氏一門のことを思って後継者として名乗りを上げるものの、頼長にさらに煽られてしまったところがあり、かえって一門を売ることになりかねない事態に追い込まれた、という話の流れになっており、家盛と頼長がひじょうに重要な役割を担いました。さすがに主人公だけあって清盛の苦境・苦悩も長く描かれましたが、清盛・家盛・頼長の三人が主役といった感もあります。
頼長は清盛にとって大きな壁であり、その点では白河院・忠盛と似たところのある役割を担っているのですが、白河院よりもさらに敵としての性格が強調されており、悪役としての立場がはっきりと描かれています。その悪役としての性格は、清盛にだけ表れるのではなく、鳥羽院にたいしても同様で、以前も今回も、鳥羽院にたいして挑発的態度をとります。頼長の出世も、父の忠実の引立てがあったとはいえ、けっきょくは鳥羽院の信任を得たことによるものでしょうし、鳥羽院の信用を失った頼長の政治的立場が苦しくなり、けっきょくは保元の乱で敗死に追い込まれたことを考えると、得子にたいする頼長の個人的嫌悪はあるにしても、鳥羽院と得子を堂々と挑発することはあり得なかっただろうな、とは思います。
ただ、保元の乱へと至る人間関係をなるべく分かりやすく描こうという制作意図があってのことでしょうから、院と摂関家とを対立的に描き、それが頼長による家盛への扇動へとつながっている、という話の構造自体は、ドラマとしてはなかなか面白い出来になっていたということもあり、悪くはないのかな、とも思います。まあ、この時代へのこだわりが強い人にとっては、納得のいかない話の構造になっていることが多いでしょうし、大河ドラマとして不適切だ、という見解になるのかもしれませんが。
今回の家盛はなかなか難しい役回りだったと思うのですが、大東駿介氏は家盛の心境をかなり上手く表現できていたように思います。今回の終わり近くになって家盛は落馬したのですが、それと幼少時に家盛が木から落ちた場面を重ね合わせるのは、陳腐なところもあるとはいえ、なかなかよい脚本・演出だったように思います。頼長には配役発表時から大いに期待していたのですが、今回も見事な悪役を演じてくれました。頼長が保元の乱でどう描かれるのか分かりませんが、その描写次第では、鳥羽院・璋子(待賢門院)を凌ぐこの作品最高の当たりキャラになるかもしれません。
清盛は、弟の家盛の苦悩をこれまでほとんど察しておらず、そのために突然(と清盛には見えたでしょう)家盛が後継者に名乗り出たことに、大いに困惑していました。これまでの話の流れからすると自然な描写ですし、演技も悪くないと思いますが、群像劇的性格強い作品とはいえ、一応は主人公だけに、さすがにそろそろ魅力のあるところ・有能なところを見せていってもらいたいものです。家盛の死による一門の動揺と、それが収まった後の忠盛の死による棟梁の座の継承とにより、かなり変わってくるのではないか、と期待はしているのですが。
清盛の妻の時子は、配役発表時から覚悟はしていましたが、演技にはかなりきついものがあります。今後も登場場面は多いでしょうから、このままではこの作品最大の地雷になりかねません。時子の弟の時忠はなかなか面白い人物造形になっていますが、台詞が長くなると危うそうだな、と思います。その他にも、忠盛の心境や忠盛・宗子夫妻の関係や河内源氏の内情など見どころが相変わらず多いのですが、今回の注目は初登場の常盤で、演じる武井咲氏のことをほとんど知らないので、どんなものだろうかと思っていたところ、美しくきつい系統の顔立ちからの予想とは異なり、意外に甘ったるい声に困惑しました。時代劇というよりも、そもそもドラマに不向きな声質のように思います。
色々と不満もありますが、今回も面白く、今後の展開が楽しみです。ただ、平治の乱の後しばらくすると、忠盛・宗子・忠正・鳥羽院・得子・頼長・信西・河内源氏一党など魅力的な人物がほとんど退場してしまい、清盛・時子・時忠・後白河院・清盛の息子たちが主要人物となるわけで、平治の乱後の展開にはかなり不安もあります。とはいっても、あまり先のことまで考えても仕方ないので、今は保元・平治の乱がどう描かれるのか、注目し楽しみにしよう、と考えています。
頼長は清盛にとって大きな壁であり、その点では白河院・忠盛と似たところのある役割を担っているのですが、白河院よりもさらに敵としての性格が強調されており、悪役としての立場がはっきりと描かれています。その悪役としての性格は、清盛にだけ表れるのではなく、鳥羽院にたいしても同様で、以前も今回も、鳥羽院にたいして挑発的態度をとります。頼長の出世も、父の忠実の引立てがあったとはいえ、けっきょくは鳥羽院の信任を得たことによるものでしょうし、鳥羽院の信用を失った頼長の政治的立場が苦しくなり、けっきょくは保元の乱で敗死に追い込まれたことを考えると、得子にたいする頼長の個人的嫌悪はあるにしても、鳥羽院と得子を堂々と挑発することはあり得なかっただろうな、とは思います。
ただ、保元の乱へと至る人間関係をなるべく分かりやすく描こうという制作意図があってのことでしょうから、院と摂関家とを対立的に描き、それが頼長による家盛への扇動へとつながっている、という話の構造自体は、ドラマとしてはなかなか面白い出来になっていたということもあり、悪くはないのかな、とも思います。まあ、この時代へのこだわりが強い人にとっては、納得のいかない話の構造になっていることが多いでしょうし、大河ドラマとして不適切だ、という見解になるのかもしれませんが。
今回の家盛はなかなか難しい役回りだったと思うのですが、大東駿介氏は家盛の心境をかなり上手く表現できていたように思います。今回の終わり近くになって家盛は落馬したのですが、それと幼少時に家盛が木から落ちた場面を重ね合わせるのは、陳腐なところもあるとはいえ、なかなかよい脚本・演出だったように思います。頼長には配役発表時から大いに期待していたのですが、今回も見事な悪役を演じてくれました。頼長が保元の乱でどう描かれるのか分かりませんが、その描写次第では、鳥羽院・璋子(待賢門院)を凌ぐこの作品最高の当たりキャラになるかもしれません。
清盛は、弟の家盛の苦悩をこれまでほとんど察しておらず、そのために突然(と清盛には見えたでしょう)家盛が後継者に名乗り出たことに、大いに困惑していました。これまでの話の流れからすると自然な描写ですし、演技も悪くないと思いますが、群像劇的性格強い作品とはいえ、一応は主人公だけに、さすがにそろそろ魅力のあるところ・有能なところを見せていってもらいたいものです。家盛の死による一門の動揺と、それが収まった後の忠盛の死による棟梁の座の継承とにより、かなり変わってくるのではないか、と期待はしているのですが。
清盛の妻の時子は、配役発表時から覚悟はしていましたが、演技にはかなりきついものがあります。今後も登場場面は多いでしょうから、このままではこの作品最大の地雷になりかねません。時子の弟の時忠はなかなか面白い人物造形になっていますが、台詞が長くなると危うそうだな、と思います。その他にも、忠盛の心境や忠盛・宗子夫妻の関係や河内源氏の内情など見どころが相変わらず多いのですが、今回の注目は初登場の常盤で、演じる武井咲氏のことをほとんど知らないので、どんなものだろうかと思っていたところ、美しくきつい系統の顔立ちからの予想とは異なり、意外に甘ったるい声に困惑しました。時代劇というよりも、そもそもドラマに不向きな声質のように思います。
色々と不満もありますが、今回も面白く、今後の展開が楽しみです。ただ、平治の乱の後しばらくすると、忠盛・宗子・忠正・鳥羽院・得子・頼長・信西・河内源氏一党など魅力的な人物がほとんど退場してしまい、清盛・時子・時忠・後白河院・清盛の息子たちが主要人物となるわけで、平治の乱後の展開にはかなり不安もあります。とはいっても、あまり先のことまで考えても仕方ないので、今は保元・平治の乱がどう描かれるのか、注目し楽しみにしよう、と考えています。
この記事へのコメント
このドラマの主役夫婦は、実は大根どおし…なんですかね?
時子はじれったいし、清盛は昨年のように周囲に翻弄らせられる主役として描かれるのでしょうか。
しかし、2人の抱き締め会うシーンは学芸会のようでしたね、あの場合清盛はその場を去るのかと思いきやそうではなく、あれで夫婦として理解しあえたという場面としては、両名は経験不足なのかな…。
最近は、マツケンがかなり憂いのある顔が自然に見えるので、本人かなり視聴率が気になっているのかなと思います。
家盛は頼長に押し倒されていましたが⁈
アレは男色?を取り入れたのでしょうか…。そりゃね、ちょっといくら大胆な濡れ場を入れるっていっても、これは見ていて楽しくないです笑。
この時代の貴族の男色って主従関係にはよくある事だったのでしょうか。
などと考えながら見ていたら、叔母から電話が来たので後半はビデオで見たのでシラけてしまいました。
今週も、視聴率さがりそうですね。
初出の武井咲さん?は、美しくはあってもまだ幼いムードですね。
やはり、タマちゃんが抜けたのがいたいかな~。
制作者側には精神的にきつい状況が続きそうですが、何とか士気を維持してもらいたいものです。