大河ドラマの危機感?

 4月22日付の読売新聞の番組欄「放送塔から」に、表題の記事が掲載されました。短いので、全文引用します。

 NHK大河ドラマ「平清盛」の視聴率は、ここ数週、10%台前半にとどまっている。理由として、平安時代のなじみの薄さ、画面の暗さ、貴族以外の生活描写の汚さなどが指摘されてきた。神奈川県の主婦、苅込理恵子さん(37)は「ナレーションが少ない。時代の背景をもっと伝えてほしい」と注文する。
 一方で、熱心に魅力を訴える声も届いている。
 「個性豊かな役者さんたちが存在感を発揮し、愛憎が絡み合う様子が、妖しい雰囲気の中で繰り広げられ、奥深い映画を見ているようだ」と絶賛するのは、宮城県の主婦、中村真波さん(47)。
 ただし、こういう持ち味は好き嫌いが分かれるところでもある。東京都の自営業、山本徳子さん(45)が「近親愛や性描写に嫌悪感を抑えられなくなり、見るのをやめた。恋愛は構わないと思うが、なぜか今回は気持ちが悪い」と書いているのは、同じコインの裏表かも知れない。
 秋田県の大学生、高橋真理さん(22)は、「今までイメージしにくかった中世世界をのぞくことができ、食い入るように見ている。難しい時代を選び、清盛の一生をドラマチックによみがえらせた制作者に拍手を送りたい」と書いた。支持派の多くは、時代設定や演出など、従来の大河との違いを肯定的に評価している。
 民放の「ご存じもの」のテレビ時代劇が絶滅寸前の状況にあって、大河ドラマも昔ながらの作風にとどまってはいられない。そんな危機感が、「平清盛」には色濃く表れているように思える。


 『平清盛』の視聴率の低迷はマスコミの格好の話題になっているようで、新聞・雑誌・ネットなどで面白おかしく取り上げられています。それらのなかには胡散臭そうなものもあるのですが、上記に引用されている投稿には、視聴率低迷の理由について、参考になりそうな意見もあります。「近親愛や性描写に嫌悪感を抑えられなくなり」というのは、決定的とまではいかなくとも、視聴率低迷の一因にはなっているように思います。確かに、楽しみに視聴を続けている私から見ても、過激な描写かな、と思える場面がありました。

 NHKの番組ということで、大河ドラマにはある程度の「品行方正」を求める視聴者が一定以上いるでしょうから、そうした視聴者層が見放したという可能性はあるように思います。山本徳子氏がどこまで視聴を続けたのか分かりませんが、男色の描写もありましたので、さらに視聴者が見放した可能性もあります。「時代の背景をもっと伝えてほしい」という意見とも関わってくるのですが、男色を描くのならば、せめて語りにおいて、『平清盛』の舞台となる平安時代末期には、男色が政治において大きな意味を持っていたことを、視聴者に説明すべきだったように思います。

 時代劇の衰退という流れの中、大河ドラマの制作者側も時代の変化に対応して色々と試行錯誤しているのだろうとは思いますが、『平清盛』では、残念ながらそうした試みは視聴率には結びついておらず、逆にむしろ視聴者離れを招来している、というところが多分にあるのでしょう。ただ、主人公の有能なところ・魅力的なところがほとんど描かれていないなど、色々と不満もあるものの、私は今のところ『平清盛』をたいへん楽しんで視聴しています。前半の主要人物の多くが退場してしまっている平治の乱後の展開には不安がありますが、最終回まで視聴を続けるつもりです。

この記事へのコメント

みら
2012年04月25日 16:11
こんにちわ

低視聴率がネタになるとは何とも悲しい事ですが、大河ドラマの視聴率が高くて当たり前の時代はもはや昔の事でありながらも、未だその定説に酔いたい人もいるから話題になるのでしょうね、無関心に比べればいいのかも・・役者さんには気の毒だけど。
この際下がるだけ下がるのを覚悟で新生に取り組めば、また新たな視聴者の確保が出来るのかもしれませんね。崖っぷちなんだから、そこそこ視聴率を保ちたいとかいうケチな考えは捨てるべきです(笑)!!
この記事の大学生の意見に賛成かな?

ところで・・。
今まで男色はTVドラマのシーンですらみたことないですよね、でも史実ですし・・「性」から捉えるのではなく時代慣習と思ってみると中々面白い。
女には絶対理解できない世界なので、襖から垣間見てみたいような気分です(笑)
東方神起に夢中なオバチャマと、稚児に夢中な僧侶・・どっちも同じくらいキモい(笑)・・マニアックは同類って事で。ナレーションで男色の説明が出来るとは思えないけど、それ以外の解説は導入したほうがわかりやすいのでこれは賛成です。自国の歴史を好きな人が減ってしまわないように、手ほどきが必要です。
えびすこ
2012年04月25日 17:15
来年か再来年でも賛否はあるでしょう。
最近大河ドラマの制作に関してNHKの考えている事がよくわからなくなっております。
下手をすると人物関係のリアリティーを重視するあまり、「主人公の子孫でないと大河ドラマ原作・脚本担当者になれない」、「登場人物の子孫でないと大河ドラマの出演俳優にはなれない」、と無茶苦茶な事をそのうち言い出す人が出かねないかも。既に私の知り合いが冗談半分で言っています。特に後者になると「再現ドラマ」の域から出ない状態になり下がるので。
「明治時代」がちょうど100年以上前になっているので、明治時代も時代劇の時期となりつつありますね。八重の桜はその試金石ですね。
2012年04月25日 20:26
視聴率を気にして変な方向に路線転換にならないよう願っているのですが、現場へのNHK上層部の圧力は強いのかもしれません。
えびすこ
2012年04月26日 08:47
「誰が主人公、誰が主役でも低迷が続く」と言う事態になると、「大河ドラマの主役をやりたい」と言う俳優がいなくなる可能性もあります。
上層部の圧力が「俳優の交代」も含めての意味合いだと、俳優の方が視聴率にナーバス、ネガティブになっていると思います。
「もしも」と言う想定で以前から懸念していますが、「主人公などの登場人物の子孫がNHKに対して訴訟を起こす」、と言う事があると番組の正当性にかかわる問題に発展します。
えびすこ
2012年04月26日 10:11
だけど大河ドラマは意外といろいろな人に気を使わないといけないんですよね。
出演者、スタッフ、ロケ地など関係自治体、主人公の子孫はもちろん、主人公と対立関係にあった人物の子孫ら。ただし、視聴者は蚊帳の外。
これらのうちどれか一方から不満が出ると番組秩序が成り立たないと思います。
これは大河ドラマの鉄則ですね。
NHKにとってやっかいなのは「番組内の特定人物を貶める描写があったり、万が一番組打ち切りと言う事態になった場合で出演俳優から訴訟を起こされるより、登場人物の子孫や関係団体から訴訟を起こされる方」が怖いと思うんです。

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