最終氷期末期の急速な海面上昇

 最終氷期末期における急速な海面上昇についての研究(Berna et al., 2012)が公表されました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用ですが、最終氷期末期には急速な海面上昇があったことになります。これが人類の行動に大きな影響を与えたことは間違いなく、今でも大きな関心を集めている、アメリカ大陸への人類の移住時期・経路についての議論にも関係してくるでしょう。また、更新世末期の人類の沿岸部における痕跡のなかには、海面の上昇により今では海面下にあるものも多いでしょうから、水中考古学のさらなる研究の進展が大いに期待されます。

地球:南極氷床の崩壊と海水準変動
 最終氷期の終わり頃、メルトウォーターパルス1Aと呼ばれている事象の期間に、急速な海水準上昇が起こった。この事象の正確な規模と時期ははっきりしていないため、気候強制力とその結果起こる氷床の応答がよくわかっていない。P Deschampsたちは、タヒチで行われた大規模な珊瑚礁掘削計画の結果を報告し、メルトウォーターパルス1Aは14,650年前から14,310年前の間に起き、急激な温暖化の時期と一致していることを実証している。海水準は14から18メートル上昇した。このような大きな上昇は、南極における氷床崩壊が海水準変化の一因となった可能性を示唆している。氷床崩壊の関与は、これまで大きな論点となっていた。



参考文献:
Deschamps P. et al.(2012): Ice-sheet collapse and sea-level rise at the Bølling warming 14,600 years ago. Nature, 483, 559–564.
http://dx.doi.org/10.1038/nature10902

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