現生人類の進化と気候変動・退避地との関係
現生人類(ホモ=サピエンス)の進化と気候変動・退避地との関係についての研究(Stewart, and Stringer., 2012)の要約を読みました。現生人類アフリカ単一起源説は、今ではすっかり通説として受け入れられていますが、現生人類がどのように拡大していったのか、とくに出アフリカ後の拡散の様相や、その過程で生じた、ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)などの現生人類ではないホモ属が絶滅するにいたった過程については、活発に議論されています。さらに近年では、ネアンデルタール人やデニソワ人(種区分は未定)と現生人類との限定的な交雑の可能性も指摘されており、現生人類拡大の様相にさらなる複雑な要素が加えられました。
この研究では、現生人類が世界各地へと拡散していった、10万年前頃に始まる最終氷期最盛期へといたる過程での有機体の歴史を検証することにより、進化生物地理学のモデルが定式化され、そうしたモデルのなかには、気候変動などにともない種内亜集団が新たな退避地へと移動することにより、重要な進化的変化につながる可能性を示しているものもある、と指摘されています。気候変動・退避地・人類進化の問題は、人類学・考古学・生物学・地質学・古気候学などを総合した学際的な研究が必要になりそうで、それだけ時間も資金も必要となるでしょうが、ひじょうに興味深い研究になりそうだと思います。
参考文献:
Stewart JR, and Stringer CB.(2012): Human Evolution Out of Africa: The Role of Refugia and Climate Change. Science, 335, 6074, 1317-1321.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1215627
この研究では、現生人類が世界各地へと拡散していった、10万年前頃に始まる最終氷期最盛期へといたる過程での有機体の歴史を検証することにより、進化生物地理学のモデルが定式化され、そうしたモデルのなかには、気候変動などにともない種内亜集団が新たな退避地へと移動することにより、重要な進化的変化につながる可能性を示しているものもある、と指摘されています。気候変動・退避地・人類進化の問題は、人類学・考古学・生物学・地質学・古気候学などを総合した学際的な研究が必要になりそうで、それだけ時間も資金も必要となるでしょうが、ひじょうに興味深い研究になりそうだと思います。
参考文献:
Stewart JR, and Stringer CB.(2012): Human Evolution Out of Africa: The Role of Refugia and Climate Change. Science, 335, 6074, 1317-1321.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1215627
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