大河ドラマ『平清盛』第11回「もののけの涙」
今回は明子を中心に話が展開し、宮中の話がやや多めに、河内源氏の話が少なめに挿入されるという構成でした。河内源氏の話では、都での為義・通清・由良姫の喜劇調の場面と、坂東での義朝の勢力拡大の場面が描かれましたが、この作品では多分に戯画化されているものの、後者は頼朝の覇権・鎌倉幕府成立の大前提となっている重要な事績で、以前このブログでも取り上げた野口実『武門源氏の血脈 為義から義経まで』が大いに参考になると思います。
https://sicambre.seesaa.net/article/201202article_4.html
相変わらず濃い宮中の話ですが、鳥羽院から真の愛が得られないことの代償ということなのか、得子(美福門院)はますます権力の亡者になっていき、崇徳帝を騙して自分の子の体仁親王へと譲位させ(近衛帝)、呪詛事件により璋子(待賢門院)を出家に追い込みます。ここで、璋子が得子の初産の時に送った産衣が出てくるのですが、こうした道具の使い方は、いかにも藤本有紀氏らしいな、と思います。璋子に仕える堀川局はこの陰謀に反発するのですが、璋子は、鳥羽法皇・崇徳上皇・義清(西行)を傷つけた愚かな自分を救ってくれるのだ、と言って反論することもなく出家します。
今回の本題である明子の話は、正直なところ、結婚後の明子がさっぱり目立たなかったために駆け足のような感じになってしまい、その最期についても感情移入しにくかったように思います。案内本のあらすじを読むまでは、序盤のメインヒロインは明子だろうと考えていたのですが、序盤のメインヒロインが璋子であることは明らかで、控えめな性格という人物造形もあるものの、明子が主人公の妻にしては影が薄くなってしまったことは否定できないでしょう。その意味でも、今回はたいへん面白かったとまでは言えませんが、明子役の加藤あい氏の美しさは見ごたえがあり、映像美として堪能できたというところはあります。
今回は、産衣の話もそうですが、明子の病が重くなり、狼狽した清盛が陰陽師を頼ろうとして忠盛がそれを制するところや、明子が亡くなり、清盛が祈祷していた僧侶たちに当たり散らして暴行を加えるところなど、過去の話・設定と結びついた場面も見られ、藤本有紀氏らしい話の作り方だな、と思います。忠盛にしてみると、陰陽師の(結果的にはでたらめな)見立てが原因で舞子が死に追いやられたわけで、妻の危篤に狼狽して陰陽師に頼ろうとしたところは、清盛が白河院の実子であることを忠盛に強く思い起こさせる、ということなのでしょう。
また、この作品では触れられていませんが、白河院は天皇在位中に寵愛していた中宮の賢子が亡くなって近臣も困惑するほど狼狽して嘆き悲しんだことがあり、そのことと祈祷していた僧侶にたいする清盛の理不尽な暴力も、忠盛に清盛が白河院の実子であることを強く思い起こさせた、という設定なのかもしれません。もっとも、白河院が賢子の死を嘆き悲しんだ話が今回の脚本に反映されているかとなると、自信はありませんが。次回は、清盛と義朝の再会が主題のようですが、序盤のメインヒロインである璋子の最期も描かれるようで、大いに注目しています。
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相変わらず濃い宮中の話ですが、鳥羽院から真の愛が得られないことの代償ということなのか、得子(美福門院)はますます権力の亡者になっていき、崇徳帝を騙して自分の子の体仁親王へと譲位させ(近衛帝)、呪詛事件により璋子(待賢門院)を出家に追い込みます。ここで、璋子が得子の初産の時に送った産衣が出てくるのですが、こうした道具の使い方は、いかにも藤本有紀氏らしいな、と思います。璋子に仕える堀川局はこの陰謀に反発するのですが、璋子は、鳥羽法皇・崇徳上皇・義清(西行)を傷つけた愚かな自分を救ってくれるのだ、と言って反論することもなく出家します。
今回の本題である明子の話は、正直なところ、結婚後の明子がさっぱり目立たなかったために駆け足のような感じになってしまい、その最期についても感情移入しにくかったように思います。案内本のあらすじを読むまでは、序盤のメインヒロインは明子だろうと考えていたのですが、序盤のメインヒロインが璋子であることは明らかで、控えめな性格という人物造形もあるものの、明子が主人公の妻にしては影が薄くなってしまったことは否定できないでしょう。その意味でも、今回はたいへん面白かったとまでは言えませんが、明子役の加藤あい氏の美しさは見ごたえがあり、映像美として堪能できたというところはあります。
今回は、産衣の話もそうですが、明子の病が重くなり、狼狽した清盛が陰陽師を頼ろうとして忠盛がそれを制するところや、明子が亡くなり、清盛が祈祷していた僧侶たちに当たり散らして暴行を加えるところなど、過去の話・設定と結びついた場面も見られ、藤本有紀氏らしい話の作り方だな、と思います。忠盛にしてみると、陰陽師の(結果的にはでたらめな)見立てが原因で舞子が死に追いやられたわけで、妻の危篤に狼狽して陰陽師に頼ろうとしたところは、清盛が白河院の実子であることを忠盛に強く思い起こさせる、ということなのでしょう。
また、この作品では触れられていませんが、白河院は天皇在位中に寵愛していた中宮の賢子が亡くなって近臣も困惑するほど狼狽して嘆き悲しんだことがあり、そのことと祈祷していた僧侶にたいする清盛の理不尽な暴力も、忠盛に清盛が白河院の実子であることを強く思い起こさせた、という設定なのかもしれません。もっとも、白河院が賢子の死を嘆き悲しんだ話が今回の脚本に反映されているかとなると、自信はありませんが。次回は、清盛と義朝の再会が主題のようですが、序盤のメインヒロインである璋子の最期も描かれるようで、大いに注目しています。
この記事へのコメント
視聴率…下がっちゃいましたね、今回は今まで最低視聴率?
残念です。
ドラマは益々(一般人には分かりやすくなって)面白くなってきたと思うのですが…。
私的には、明子を愛するピュア清盛にちょっぴり泣けちゃいました、鱸丸は密かに明子を好きだったのかも知れませんね、明子のような女性は誰からも好かれます。
得子ますますドラマ的にはビッグキャラで…笑。女帝。最近は団子顔のタマちゃんがお気に入りになってきたので、いなくなるとつまらなくなりますね~。
来週あたりから源平場面が増えそうですね
この時期では異例の低視聴率で、現場の士気が下がらなければよいのですが。