ジャワのエレクトスの年代

 ジャワ島のサンギラン地域のエレクトスの年代に関する研究(Hyodo et al., 2012)が、昨年12月4日付の読売新聞などで報道されましたが、この研究については河合信和氏のブログにて取り上げられており、大いに参考になります。この研究では、サンギラン地域のホモ=エレクトスの出土層の最上部の年代は、古地磁気学から79万年前頃と推定されるとのことで、サンギラン地域でエレクトスが生存していた下限年代となります。もっとも、これは現時点でのほぼ確実な下限年代であり、今後の発見により、さらに年代が下る可能性はあります。

 これだけでも注目されるのですが、さらに興味深いのは、150万年前よりもさかのぼるとされるジャワ島のエレクトスの年代についても再検証が必要で、ずっと新しくなりそうだ、との指摘です。ジャワ島のエレクトスの年代が、最古のものではアフリカのエレクトス(もしくはエルガスター)とあまり変わらないとの見解もあることから、出アフリカを果たした初期ホモ属は比較的短期間で東南アジアまで進出したのではないか、とも考えられているのですが、今後のジャワ島のエレクトスの年代の見直しの結果によっては、人類の出アフリカの様相について、現在の有力な見解を訂正しなければならないでしょう。


参考文献:
Hyodo M. et al.(2011): High-resolution record of the Matuyama–Brunhes transition constrains the age of Javanese Homo erectus in the Sangiran dome, Indonesia. PNAS, 108, 49, 19563-19568.
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1113106108

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