『ハイビジョン特集 カンブリアン ウォーズ』
BSプレミアムで放送されていたので、録画して視聴しました。生物進化史において大爆発期とされるカンブリア紀を、ドラマ形式で解説した番組です。ドラマに挿入される、カンブリア紀についての研究者の解説自体はなかなか面白かったのですが、肝心のドラマのほうがさっぱりで、これならば、研究者の見解を上手くまとめてCGとともに放送するという王道的構成にしたほうがよかったでしょうし、生物進化史に詳しくない芸能人を多数呼んで、あまり意味のないお喋りをさせておくほうがまだよかったのではないか、とさえ思います。
ドラマは、自らの生存のために地球への移住を計画している地球外生命体が、人類が地球環境を脅かす邪魔な存在であると考え、現代人を抹殺するためにその祖先を滅ぼそうとして二人の「姉妹」を地球に派遣する、という話になっています。このような生物進化を扱った啓蒙的なドラマで、安易に地球外生命体を持ち出すのは、オカルト系の一部で地球外生命体による進化への介入が主張されていることを考えると、大いに問題があるように思います。この地球外生命体は、地球にやって来ることも過去にさかのぼることもできて、人間の姿に容易に擬態できるような、現代人からは信じられないほどの「高度な」技術を持ち、人間を圧倒する「強さ」を持っています。
その「強さ」の秘密の要因として、各生物から「優秀な」遺伝子を導入したことが語られるのですが、なんだか、幼稚園児に見られる「ぼくのかんがえたさいきょうのヒーロー」に通じる幼稚性があるように思います。ヒロインである「姉妹」は、姉が生物進化学の研究者に、妹が高校生に擬態して、人類の祖先を探ってそれを滅ぼそうとします。まず、姉妹はアウストラロピテクス=アファレンシスを滅ぼしますが、それにより現代の生態系は乱れたものの、現代の人類は滅びません。どうも、アファレンシスは現代人の祖先ではないという設定のようです。
それはまあよいのですが、アファレンシスにかぎらず、ある生物集団をじっさいよりも早く滅ぼしてしまえば、その影響は後世になるほど大きくなるでしょうに、このドラマの「現代」は、アファレンシスの存在したアフリカ東部の生態系が乱れたていどの影響しか受けていません。まあ、「姉妹」の思考が現代人的であることも含めて、そのようなご都合主義もドラマ上許されると考えるにしても、「姉妹」はアファレンシスと同時代の現代人の祖先を滅ぼすのではなく、カンブリア紀にさかのぼって現代人の祖先を滅ぼそうとするのには、明らかに無理があると思います。
「姉妹」の属する地球外生命体は、現代の地球環境が自分たちに適しているという理由で地球への移住を計画したのに、現代の地球のほとんど?の脊椎動物の祖先を滅ぼしてしまえば、生態系が現代とは大きく変わってしまうという可能性は考えなかったのでしょうか。さらに間抜けなことに、この地球外生命体は、かつて多くの生物の「優秀な」遺伝子を取り入れる過程で、地球に来て人間の遺伝子をも取り入れており、「妹」のほうがカンブリア紀に行って人類の祖先を次々に殺していくと、「現代」の地球外生命体の個体数も減っていきます。「高度な」技術を有しているのに、信じられないような間抜けな失敗です。
「姉」は「妹」が現代人(というかほとんど?の脊椎動物)の祖先を滅ぼすのを止めようとしてカンブリア紀に向かいますが、「妹」はカンブリア紀で生態系の最高次消費者と考えられているアノマロカリスに襲撃されて敗れ、消滅してしまいます。おそらく番組制作者は、ここを悲劇的な場面として真剣に描こうとしたのでしょうが、「高度な」技術を有して人間ならば三人相手でも圧倒する力を持ちながら、三匹(という数え方でよいのでしょうか?)が襲い掛かってきたとはいえ、自らの体以外に「武器」を持たないアノマロカリスに「妹」が敗れて消滅したことに、私は不謹慎にも笑ってしまいました。このドラマのアノマロカリスは強すぎます。
この後、「姉」は「妹」の「仇討ち」をしてアノマロカリスを殺し、人類の祖先を滅ぼそうとする計画を止めて、地球から痕跡を消してしまいます。「姉」が「司令部」の命令に違反したので死刑になったのか、「英雄」として「母星」に迎えられたのか、明示はされませんでしたが、「姉妹」と関わった人々は、主人公である研究者の男性以外は「姉妹」についての記憶を失ってしまい、最後に、「姉」が現代人に擬態した時の外見とそっくりの女性と、主人公が遭遇するところでドラマは終了します。人類を敵視する「妹」にたいして、人類にも良い人がいる、と「姉」が「妹」を説得しようとする場面など、陳腐な話も目立ち、生物進化を題材とした啓蒙的なドラマとしては、本当に大失敗だったと思います。BSプレミアムでの放送なので視聴者が少ないだろうということで、制作者側が暴走してしまったのでしょうか。
ドラマは、自らの生存のために地球への移住を計画している地球外生命体が、人類が地球環境を脅かす邪魔な存在であると考え、現代人を抹殺するためにその祖先を滅ぼそうとして二人の「姉妹」を地球に派遣する、という話になっています。このような生物進化を扱った啓蒙的なドラマで、安易に地球外生命体を持ち出すのは、オカルト系の一部で地球外生命体による進化への介入が主張されていることを考えると、大いに問題があるように思います。この地球外生命体は、地球にやって来ることも過去にさかのぼることもできて、人間の姿に容易に擬態できるような、現代人からは信じられないほどの「高度な」技術を持ち、人間を圧倒する「強さ」を持っています。
その「強さ」の秘密の要因として、各生物から「優秀な」遺伝子を導入したことが語られるのですが、なんだか、幼稚園児に見られる「ぼくのかんがえたさいきょうのヒーロー」に通じる幼稚性があるように思います。ヒロインである「姉妹」は、姉が生物進化学の研究者に、妹が高校生に擬態して、人類の祖先を探ってそれを滅ぼそうとします。まず、姉妹はアウストラロピテクス=アファレンシスを滅ぼしますが、それにより現代の生態系は乱れたものの、現代の人類は滅びません。どうも、アファレンシスは現代人の祖先ではないという設定のようです。
それはまあよいのですが、アファレンシスにかぎらず、ある生物集団をじっさいよりも早く滅ぼしてしまえば、その影響は後世になるほど大きくなるでしょうに、このドラマの「現代」は、アファレンシスの存在したアフリカ東部の生態系が乱れたていどの影響しか受けていません。まあ、「姉妹」の思考が現代人的であることも含めて、そのようなご都合主義もドラマ上許されると考えるにしても、「姉妹」はアファレンシスと同時代の現代人の祖先を滅ぼすのではなく、カンブリア紀にさかのぼって現代人の祖先を滅ぼそうとするのには、明らかに無理があると思います。
「姉妹」の属する地球外生命体は、現代の地球環境が自分たちに適しているという理由で地球への移住を計画したのに、現代の地球のほとんど?の脊椎動物の祖先を滅ぼしてしまえば、生態系が現代とは大きく変わってしまうという可能性は考えなかったのでしょうか。さらに間抜けなことに、この地球外生命体は、かつて多くの生物の「優秀な」遺伝子を取り入れる過程で、地球に来て人間の遺伝子をも取り入れており、「妹」のほうがカンブリア紀に行って人類の祖先を次々に殺していくと、「現代」の地球外生命体の個体数も減っていきます。「高度な」技術を有しているのに、信じられないような間抜けな失敗です。
「姉」は「妹」が現代人(というかほとんど?の脊椎動物)の祖先を滅ぼすのを止めようとしてカンブリア紀に向かいますが、「妹」はカンブリア紀で生態系の最高次消費者と考えられているアノマロカリスに襲撃されて敗れ、消滅してしまいます。おそらく番組制作者は、ここを悲劇的な場面として真剣に描こうとしたのでしょうが、「高度な」技術を有して人間ならば三人相手でも圧倒する力を持ちながら、三匹(という数え方でよいのでしょうか?)が襲い掛かってきたとはいえ、自らの体以外に「武器」を持たないアノマロカリスに「妹」が敗れて消滅したことに、私は不謹慎にも笑ってしまいました。このドラマのアノマロカリスは強すぎます。
この後、「姉」は「妹」の「仇討ち」をしてアノマロカリスを殺し、人類の祖先を滅ぼそうとする計画を止めて、地球から痕跡を消してしまいます。「姉」が「司令部」の命令に違反したので死刑になったのか、「英雄」として「母星」に迎えられたのか、明示はされませんでしたが、「姉妹」と関わった人々は、主人公である研究者の男性以外は「姉妹」についての記憶を失ってしまい、最後に、「姉」が現代人に擬態した時の外見とそっくりの女性と、主人公が遭遇するところでドラマは終了します。人類を敵視する「妹」にたいして、人類にも良い人がいる、と「姉」が「妹」を説得しようとする場面など、陳腐な話も目立ち、生物進化を題材とした啓蒙的なドラマとしては、本当に大失敗だったと思います。BSプレミアムでの放送なので視聴者が少ないだろうということで、制作者側が暴走してしまったのでしょうか。
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