不人気な時代
今年の大河ドラマ『平清盛』は、ドラマとしては面白いと思うのですが、残念ながら視聴率は低迷しており、第4回が終了した時点での平均視聴率は17.5%となっています。同じく第4回終了時点での平均視聴率が、一昨年の大河ドラマ『龍馬伝』は22.6%、昨年の『江~姫たちの戦国~』は22.0%であり、大河ドラマは序盤の視聴率が高く、平均視聴率は序盤の視聴率を下回る傾向にあることを考えると、『平清盛』の平均視聴率は、21世紀以降だけではなく、歴代の大河ドラマでも最低記録を更新するかもしれません。
私は面白いと思っているのですが、正直なところ、広く受けるような脚本ではないかな、とも考えられますし、演出は脚本以上に一般受けしにくいところがあるのは否定できません。それだけに、大河ドラマとしては視聴率が低迷しているのは仕方のないところもあるかな、とは思いますが、第4回までの描かれた時代が、白河院政期終盤~鳥羽院政期序盤という不人気な時代であることも、視聴率低迷の一因かな、とは思います。もっとも、この時代が不人気だというのは私の主観であり、証明できるものでもありませんが、おそらく的外れな見解ではないだろう、と考えています。
院政期は、天皇親政ではないという意味で皇国史観にあっては否定されるべき政体の時代であり、皇国史観を批判した戦後歴史学にあっても、たとえば、「十一世紀前半期に明確にあらわれた古代国家の危機を、古い形で解決しようとした最後の政治形態である院政は、この時代の支配階級内部の矛盾を解決しなかったばかりでなく、それを激化した」と否定的な評価がなされたことがありました(石母田正『日本史概説』、『石母田正著作集 第十二巻 古代・中世の歴史』所収P149)。もっとも現代では、院政期に中世の始まりを認める見解が主流になっているようですが、対極的な立場のどちらの史観からも否定的に扱われてきたことが、不人気な時代であることを象徴しているように思います。
その他にも、分かりにくい時代だから不人気なのだという見解もあるかもしれませんが、確かに、転換期だけに分かりにくいところもあるとはいえ、他の時代と比較してとくに分かりにくいのかというと、そうとは限らないのではないだろうか、とも思いますし、転換期とされる戦国時代は日本史上でもっとも人気の高い時代です。不人気の要因はけっきょくのところ、研究者・創作者も含めて語り手と作品の問題なのかな、とも思います。その意味で、今年の大河ドラマ『平清盛』がもっと高い人気を得ていれば、白河・鳥羽院政期の関心も高まったのかもしれず、とてもそうはなりそうにないことを考えると、残念ではあります。
私は面白いと思っているのですが、正直なところ、広く受けるような脚本ではないかな、とも考えられますし、演出は脚本以上に一般受けしにくいところがあるのは否定できません。それだけに、大河ドラマとしては視聴率が低迷しているのは仕方のないところもあるかな、とは思いますが、第4回までの描かれた時代が、白河院政期終盤~鳥羽院政期序盤という不人気な時代であることも、視聴率低迷の一因かな、とは思います。もっとも、この時代が不人気だというのは私の主観であり、証明できるものでもありませんが、おそらく的外れな見解ではないだろう、と考えています。
院政期は、天皇親政ではないという意味で皇国史観にあっては否定されるべき政体の時代であり、皇国史観を批判した戦後歴史学にあっても、たとえば、「十一世紀前半期に明確にあらわれた古代国家の危機を、古い形で解決しようとした最後の政治形態である院政は、この時代の支配階級内部の矛盾を解決しなかったばかりでなく、それを激化した」と否定的な評価がなされたことがありました(石母田正『日本史概説』、『石母田正著作集 第十二巻 古代・中世の歴史』所収P149)。もっとも現代では、院政期に中世の始まりを認める見解が主流になっているようですが、対極的な立場のどちらの史観からも否定的に扱われてきたことが、不人気な時代であることを象徴しているように思います。
その他にも、分かりにくい時代だから不人気なのだという見解もあるかもしれませんが、確かに、転換期だけに分かりにくいところもあるとはいえ、他の時代と比較してとくに分かりにくいのかというと、そうとは限らないのではないだろうか、とも思いますし、転換期とされる戦国時代は日本史上でもっとも人気の高い時代です。不人気の要因はけっきょくのところ、研究者・創作者も含めて語り手と作品の問題なのかな、とも思います。その意味で、今年の大河ドラマ『平清盛』がもっと高い人気を得ていれば、白河・鳥羽院政期の関心も高まったのかもしれず、とてもそうはなりそうにないことを考えると、残念ではあります。
この記事へのコメント
やっぱり、今の日本の状態が原因なのではないですか?
大雪に地震に原発汚水漏れに・・とてもじゃないけど帯ドラマ見ている余裕がないのでは?
・・・というのが、大前提にあるのかもしれません。
こののんきな私でさえ、日常がせわしないくらいですからね~。
不人気な時代である事は確かです。
馴染みが薄いと言いますか…。
資料も少ないんでしょうから創作物になりがちでしょうし、日本史が好きな人は満足感がないかもしれませんね。
私が大河ドラマを見るようになったきっかけは『新平家物語』で、見比べたいですね。
一般的に伝わってきた、清盛のイメージとかけ離れすぎているのが影響しているのか?
地デジ放送離れしているとか?…コレらも否定されそうですが、何処かの市長が言うように、時勢がら綺麗なモノ見てくつろぎたいのも一理は…有る。
ある意味で、期待は外したのかも⁈
私は面白いと思いますし、食わず嫌い克服出来る気もしてます。
みんな食わず嫌いなんぢゃない?
この時代が…どうも苦手とか。
文芸中心だったらまた一味違った作品になったでしょうね。
雅な暮らしの方が興味深いのかな、平民は。
「平清盛」とてもいいと思うんですが,視聴率はあがりませんね。
私は去年から大変楽しみにしていて,放送前から関連本を読んだりHPにいったりしていました。
でもなんの予備知識もないと,人間関係がわかりにくいのかもしれないですね。
私の夫は,ずっと中井貴一さんが頼朝だと思い込んでいたようです。
それで,よけいに訳がわからなくなって・・・
話は十代の男の子が好きそうな気もするのですが,
(清盛くんの冒険活劇として)今の十代の人たちってあまりテレビをみないのかな。ほんの少しでもいいから見ている人が増えてくれたらいいですね。
NHKも戦国と幕末を繰り返しすぎたようにも思います。
岬さんはじめまして、今後ともよろしくお願い申し上げます。予備知識がないと、分かりにくいところがあるとは思います。
21世紀以降の大河ドラマはとくに、戦国と幕末に偏っている感があるのですが、衣装の使いまわしなど、経費面の問題もあるのかもしれません。
極論を言うと大河ドラマは「今生きている人」でも主人公にしてもよさそうですが。