森田善明『戦国10大合戦の大ウソ』
ワックより2011年10月に刊行されました。厳島・桶狭間・謙信の関東侵攻・川中島・信長の美濃侵攻・信玄の西上戦・長篠・賤ヶ岳・秀吉の小田原城攻め・関ヶ原という、戦国時代の著名な10の合戦の俗説・通説を批判し、異なる見解を提示する、という体裁になっています。個々の合戦の俗説・通説にたいする批判と、それに替わる見解については、先行研究に依拠したところが多分にあり、本書で提示された見解のなかに、目新しいものはそれほど多くありません。
ただ、現代日本社会で戦国時代は他の時代よりも人気があるとはいえ、まだ間違った俗説が根強く浸透している、と思うこともしばしばあるので、このように俗説を批判した安価な一般向け歴史本(税別で933円)が刊行される意義は小さくないだろう、とも思います。本書の特徴の一つに、結果論的解釈と距離を置こうとする傾向が認められると思いますが、それは本書後半の賤ヶ岳・秀吉の小田原城攻め・関ヶ原の章で顕著です。柴田勝家・後北条家・石田三成など、後世の人間は敗者にたいして厳しくなりがちですが、本書から、そうした敗者たちの再評価というか「名誉回復」という意味合いを読み取ることもできるのではないか、と思います。
ただ、現代日本社会で戦国時代は他の時代よりも人気があるとはいえ、まだ間違った俗説が根強く浸透している、と思うこともしばしばあるので、このように俗説を批判した安価な一般向け歴史本(税別で933円)が刊行される意義は小さくないだろう、とも思います。本書の特徴の一つに、結果論的解釈と距離を置こうとする傾向が認められると思いますが、それは本書後半の賤ヶ岳・秀吉の小田原城攻め・関ヶ原の章で顕著です。柴田勝家・後北条家・石田三成など、後世の人間は敗者にたいして厳しくなりがちですが、本書から、そうした敗者たちの再評価というか「名誉回復」という意味合いを読み取ることもできるのではないか、と思います。
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