大河ドラマ『獅子の時代』再放送終了
昨日、時代劇専門チャンネルで再放送されていた大河ドラマ『獅子の時代』が最終回を迎えました。この作品の前年(1979年)に放送された大河ドラマ『草燃える』と比較すると、画質・音質ともにはるかによく、全話のマスターテープがNHKでずっと保管されていたのかもしれません。調べてみると、2004年に完全版DVDが発売されていますが、この画質・音質ならば、完全版DVDを発売してもまったく問題はないだろうな、と思います。『草燃える』も、より保存状態のよいテープが発見されるとよいのですが。
この作品の特徴の一つは良くも悪くも大河ドラマらしからぬ音楽で、リアルタイムで視聴していたわけではなく、当時の評価についてはよく知らないのですが、賛否両論だったのではないか、と思います。正直なところ、最初はかなり違和感があったのですが、視聴を続けて慣れてくると、作風に合っているようにも思えてきました。オープニングでその回のハイライトシーンが挿入されるという演出は、おそらく大河ドラマでは空前絶後のことで、最初は戸惑いましたが、視聴を続けるとそれにも慣れました。
このように、大河ドラマとしては多分に異端的なところのある作品ですが、主人公二人とその周辺の人物を丁寧に描いた作風は、良い意味で大河ドラマの基本に忠実と言えそうです。主人公二人は下級武士階層出身という設定の幕末~明治前半の架空の人物ですが、それぞれ、この時期において対照的な運命をたどった会津藩と薩摩藩の出身です。架空の人物だけに、自由に動かせるという利点もあるのですが、それだけに、歴史ドラマとしては制作の難易度が高いというか、製作者の力量が問われることになると思います。
この作品は、会津藩出身の一方の主人公(平沼銑次)が、敗者として苦難の道を歩み続けるのにたいして、薩摩藩出身のもう一方の主人公(苅谷嘉顕)は、西南戦争での父の死などの悲運もありつつも、官界で順調に出世していきます。むろん、架空の人物なので史実ではありませんし、その活躍が主人公らしく超人的なところもありましたが、大まかな境遇では史実でもこうした人たちはいそうだな、と思わせる説得力があり、この点では脚本・演出の成功と言えそうです。ただ、順調に出世しているかに見えた苅谷嘉顕は悲劇的な最期を迎えます。苅谷嘉顕は、清廉潔白で理想に燃えるが、融通の利かないところがあるという人物像でずっと描かれてきただけに、説得力のある展開になっていると思います。この苅谷嘉顕の人物像は、同じく加藤剛氏の演じた大河ドラマ『風と雲と虹と』の平将門と共通するところが多分にあります。
この作品は登場人物が少なく、昨年の大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』と同じく、オープニングのクレジットが寂しく感じるところもありましたし、重要な役割を担った人物の登場に唐突なところが少なからずあり、それらの人物のなかにはその後放置された者もいましたが、主役二人を中心とした濃密な物語がしっかりと描かれていたため、とくに気にはなりませんでした。ただ残念だったのは、大久保利通の死後、一気に三年が経過してしまったことで、大久保死後の苅谷嘉顕の心境は丁寧に描くべきだったように思います。このように不満な点もありますが、活き活きとした作風と主人公二人の丁寧な描写には見応えがあり、たいへん楽しめました。
この作品の特徴の一つは良くも悪くも大河ドラマらしからぬ音楽で、リアルタイムで視聴していたわけではなく、当時の評価についてはよく知らないのですが、賛否両論だったのではないか、と思います。正直なところ、最初はかなり違和感があったのですが、視聴を続けて慣れてくると、作風に合っているようにも思えてきました。オープニングでその回のハイライトシーンが挿入されるという演出は、おそらく大河ドラマでは空前絶後のことで、最初は戸惑いましたが、視聴を続けるとそれにも慣れました。
このように、大河ドラマとしては多分に異端的なところのある作品ですが、主人公二人とその周辺の人物を丁寧に描いた作風は、良い意味で大河ドラマの基本に忠実と言えそうです。主人公二人は下級武士階層出身という設定の幕末~明治前半の架空の人物ですが、それぞれ、この時期において対照的な運命をたどった会津藩と薩摩藩の出身です。架空の人物だけに、自由に動かせるという利点もあるのですが、それだけに、歴史ドラマとしては制作の難易度が高いというか、製作者の力量が問われることになると思います。
この作品は、会津藩出身の一方の主人公(平沼銑次)が、敗者として苦難の道を歩み続けるのにたいして、薩摩藩出身のもう一方の主人公(苅谷嘉顕)は、西南戦争での父の死などの悲運もありつつも、官界で順調に出世していきます。むろん、架空の人物なので史実ではありませんし、その活躍が主人公らしく超人的なところもありましたが、大まかな境遇では史実でもこうした人たちはいそうだな、と思わせる説得力があり、この点では脚本・演出の成功と言えそうです。ただ、順調に出世しているかに見えた苅谷嘉顕は悲劇的な最期を迎えます。苅谷嘉顕は、清廉潔白で理想に燃えるが、融通の利かないところがあるという人物像でずっと描かれてきただけに、説得力のある展開になっていると思います。この苅谷嘉顕の人物像は、同じく加藤剛氏の演じた大河ドラマ『風と雲と虹と』の平将門と共通するところが多分にあります。
この作品は登場人物が少なく、昨年の大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』と同じく、オープニングのクレジットが寂しく感じるところもありましたし、重要な役割を担った人物の登場に唐突なところが少なからずあり、それらの人物のなかにはその後放置された者もいましたが、主役二人を中心とした濃密な物語がしっかりと描かれていたため、とくに気にはなりませんでした。ただ残念だったのは、大久保利通の死後、一気に三年が経過してしまったことで、大久保死後の苅谷嘉顕の心境は丁寧に描くべきだったように思います。このように不満な点もありますが、活き活きとした作風と主人公二人の丁寧な描写には見応えがあり、たいへん楽しめました。
この記事へのコメント
『獅子の時代』は、見ごたえがあると思います。
『獅子の時代』は、私もパスした作品です。主人公が架空の人物設定だったことも理由の一つだったと思います。上っ面ではなくクオリティを向上してほしいと願うのは今も変わらずです。でも、菅原文太が主役だから見なかったのかな・・?あ、時代設定が好きではなかったから気に留めずスルーだったのかもしれませんね。
しかし、山田太一さん脚本でしたら・・必見でしたね。しかも脚本が数名いらっしゃるんですか?NHK製作としては画期的だったのでしょうね。
ところで最近、NHKネットラジオで漢詩を聞いていて、次の時間枠で近代国語学の先生の番組があり面白いので聞いてます。明治時代の日本語についてのお話しなのですが、変体仮名から一音一文字に統一し教科書を作った明治時代とは、それまでの文化を活字制作とともにそぎ落として激変した時代と聞き、『坂の上』のきっかけもあり最近は明治にも興味を持てるようになりました。
今だったら『獅子の時代』に感心が持てると思います。
みてみたい~。