大河ドラマは戦国時代と幕末に集中しているのか

 大河ドラマがじっさいにはどのていど特定の時代に集中しているのか、調べてみようと思い立ち、まずは大河ドラマの空白期間について記事を掲載しました。
https://sicambre.seesaa.net/article/201201article_14.html

 次に、半世紀単位で時代を区分し、大河ドラマの各作品がどの時代を描いているのか、分類して見ました。ただ、初期の作品を中心として未見のものが多いために正確ではなく、半世紀というやや長い期間での分類のため、大雑把なものにしかなりません。それでも、大まかな傾向は見られるかな、と思い調べてみました。来年の大河ドラマ『八重の桜』まで集計対象としたので、全部で52作品が対象となりますが、当然のことながら、複数の時代区分にまたがる作品が多いので、合計すると52よりも多くなります。なお、9世紀以前と21世紀以降は事実上まだ大河ドラマの舞台とはなっていません(厳密に言えば、1993~1994年放送の『炎立つ』第一部の冒頭で、わすかですが平安時代初期の9世紀初頭が描かれています)。

10世紀前半・・・1
10世紀後半・・・0
11世紀前半・・・1
11世紀後半・・・1
12世紀前半・・・3
12世紀後半・・・6
13世紀前半・・・2
13世紀後半・・・2
14世紀前半・・・1
14世紀後半・・・1
15世紀前半・・・1
15世紀後半・・・2
16世紀前半・・・7
16世紀後半・・・20
17世紀前半・・・14
17世紀後半・・・7
18世紀前半・・・5
18世紀後半・・・1
19世紀前半・・・9
19世紀後半・・・13
20世紀前半・・・4
20世紀後半・・・1

 こうしてみると、やはり戦国時代の多さが目立ちますが、戦国時代でも16世紀前半は突出して多いわけではなく、やはり織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の三傑が本格的に活躍する時代の人気が高い(と制作者側が認識している)ということなのでしょう。もっとも、16世紀後半を描いた作品でも、1997年放送の『毛利元就』では三傑が登場しませんでしたし、2007年放送の『風林火山』では少年時代の家康が少し登場しただけでしたが。16世紀後半に次いで多いのは17世紀前半で、まだ戦国時代の延長といった雰囲気のある大坂の陣までを主に描いた作品も多いのですが、1970年放送の『樅ノ木は残った』や1971年放送の『春の坂道』は、元和偃武後を本格的に描いているようです。

 その次に多いのは19世紀後半で、1980年放送の『獅子の時代』は幕末よりも明治以降のほうを長く描いており、1985年放送の『春の波涛』は幕末を舞台としていないようですが、ほとんどの作品は幕末を重要な舞台としています。やはり多くの人が抱いているであろう印象通り、大河ドラマの舞台となる時代は戦国(~江戸時代初期)と幕末が多いと言えそうです。単独の主題としては、忠臣蔵ものの4作品が目立つのですが、初期と幕末を除いた江戸時代の安定期は、忠臣蔵もの以外には作品が少なく、時代劇というとむしろ江戸時代の安定期のものが多そうなだけに、やはり大河ドラマには動乱期を描くことが求められている(と制作者側が認識している)のかな、とも思います。

 9世紀以前を舞台とした大河ドラマは事実上なく、平安時代を舞台とした作品も、『平家物語』の時代以外を描いているのは、1976年放送の『風と雲と虹と』および1993~1994年放送の『炎立つ』第一部・第二部だけですが、そもそも11世紀以前の日本列島を舞台とした映像作品は少なく、時代考証の難しさと衣装・小道具の使い回しの難しさによる予算の問題もあるので、仕方のないところかな、とは思います。ただ、『源氏物語』は何度か映像化されており、衣装の使い回しがあるていど可能かもしれませんので(NHKが関わっていない作品で用いられた衣装をNHKが借りることができるのか、またその費用はどのていどなのか、ということを私はまったく知らないので、的外れなことを述べてしまっているかもしれませんが)、さすがに『源氏物語』そのものが大河ドラマ化されることはなくとも、『源氏物語』が執筆された摂関政治の全盛期が、藤原道長を主人公として取り上げられるかもしれません。

 いわゆる源平ものというか『平家物語』の時代を描いた作品が6作品(もっとも、『草燃える』の半ばは『平家物語』以降の時代を描いており、『炎立つ』が『平家物語』の時代を描いたのは第三部だけで、それも『平家物語』の描かなかった地域・事象が主でしたが)であることを考えると、鎌倉時代~戦国時代が始まる前までの室町時代の300年近くを舞台とする作品が、1979年放送の『草燃える』・1991年放送の『太平記』・1994年放送の『花の乱』・2001年放送の『北条時宗』の4作品しかないことが目立ちます。第二次世界大戦後の日本では、この300年近い時代が前後の時代と比較して不人気であることは否定できないでしょうから、仕方のないところでしょうか。今後も、この300年近い時代を舞台とする大河ドラマは少なそうです。もっとも、その前に、大河ドラマがいつまで続くのか、という問題もありますが。

この記事へのコメント

えびすこ
2012年01月17日 08:25
来年の「八重の桜」が明治20年以降を取り上げると、意外にも平成年間では初めての事になります。おそらく新島襄の死去までは取り上げると思います。
主人公が昭和初期まで生きた人なので、どこまで取り扱うかにも注目です。
みら
2012年01月17日 19:27
こんばんわ

『源氏物語』は・・やってもらいたいような気がします。著者主役でいいんではないですか、CGを駆使して煌びやかな宮中御殿を是非費用をふんだんに使って。
光源氏の配役はちょっと・・もめそうですね~(笑)
どうせなら、オリジナルもやるって方針で(最近は時代考証離れしてることだし)
2012年01月17日 22:56
『八代将軍吉宗』の例もあるので、脚本次第では、『源氏物語』の時代でも大河ドラマ化できそうな気もしますが、考証の問題もあるので、この時代の大河ドラマは難しいように思います。
みら
2012年01月18日 00:00
『八代・・』見てないのです、当時私はチャンバラの無い時代劇に興味がなかったので(笑)しかしジェームズ三木さんはヒットメーカーですから面白かったでしょうね。

『源氏物語』というのが無理なら、『明月記』でいいんじゃないですか?
えびすこ
2012年01月18日 08:27
明治・大正・昭和の時期の生まれで構わなければ、日経新聞連載の「私の履歴書」の大河ドラマ化と言う手段もあります。
この方法では「原作者=主人公」のスタイルになるので。
私の履歴書は自慢話一辺倒ではないので、著名人の失敗談とかもありますよ。
下手に脚色すると原作者本人か家族からクレームが出るリスクがありますが。
2012年01月18日 20:33
『明月記』の時代はかなり『草燃える』と重なり、『草燃える』では朝廷の様子もそれなりに描かれていたので、あまり新鮮さはないようにも思います。

もっとも、『草燃える』の藤原定家は変人で、岡本信人氏らしく小物感全開だったので(岡本氏は、小物感全開でどこか憎めない人物を演じるのが抜群に上手いと思います)、一度主人公として格好よく描くのもありかな、とは思いますが。

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