スペシャルドラマ『坂の上の雲』第13回(最終回)「日本海海戦」

 2年前に放送の始まったスペシャルドラマ『坂の上の雲』がついに最終回を迎えました。前回の最後で日本海海戦の始まりまで描かれ、今回は最初から本格的に日本海海戦が描かれましたが、実質的には今回の1/3ほどで日本海海戦の描写が終わったのは意外でした。日本海海戦の映像は、テレビドラマとしては迫力のあるものになっており、よくこれだけのものを作れたと感心します。多額の制作費がかけられているではないか、との冷ややかな見方もあるかもしれませんが、金をかければ高水準の映像を作れるというものでもなく、兵士役の方々も含めて、制作に関わった人々の熱意が感じられる映像になっていた、と思います。東郷平八郎の冷静さ・器量の大きさも印象に残りました。ただ残念なのは、日本海海戦の場面で音楽が過剰だったことです。

 この作品の放送が始まった頃より、最後はどこまで描くのだろう、と注目してきました。原作は、日本海海戦が終わった後は暗い感じで、この作品では省略された三笠の沈没などもあり、真之は苦悩して心を病んでいきます(心を病んでいくというのは、私の偏見かもしれませんが)。この作品でも、あまりにも多くの人々の死を見過ぎた、と真之は苦悩を深めますが、その描写は原作と比較して薄くなっていました。「明治時代の明るさ」を強調した作品なので、それでもよいかな、とは思います。好古の最期は原作の台詞を取り入れたものになっていましたが、語りにて、原作で強調されていた好古の恬淡な人柄に触れられていればもっとよかったのに、とは思います。

 今回残念だったのは夏目漱石の出演場面で、悪い意味で軽く浮いてしまっており、これは省略しても問題ないというよりも、省略すべきだったように思います。その他には、真之の妻の登場場面も不要だったように思うのですが、これは、大河ドラマ『義経』の静御前役を見て以降、私が演じている人を苦手にしているからかもしれません。最後はやや駆け足になったというか、散漫な感じになってしまいましたが、2年以上にわたって放送されてきて、私もずっと楽しみにしてきた作品の最終回ということで、なんとも寂しいものです。いつか、時間を作って最初から再視聴しよう、と考えています。

この記事へのコメント

みら
2011年12月27日 20:38
こんばんわ

漱石は・・浮いてましたね、文人と軍人の対比なのでしょうから仕方ありませんね。
真之は、戦闘中でも豆喰ってましたね~これは「ちょっと??」という感じでした、誰のアイディアなんでしょ。きっとご本人(本木)のような気がします。

この作品、3年で完結という新しい試みでしたがはっきり言って「長い」です。
映像化をしたくないという原作者の意向が反映されてこのかたちなんでしょうが・・乃木批判という内容を見れば・・・納得・・数年前に大河にしたら命取りになりかねない・・昭和期には殺されたかも・・・?だったんですねー。
戦闘も近年のCGだからこそ可能になった部分があるように感じましたし映像は良かったですねー私はテレビ替えたかいがありました(笑)

渡哲也は軍服が似合う~実際はいくつなんだろう?このキャスト平均年齢高っ?
一般的には失礼ながら「おじいちゃん」と呼ばれる世代の役者さんたちばかりの戦闘シーンは、ある意味「記録」として非常に価値あるものかもしれません。

さあ、後は来年だわー。

有馬記念は買ったんですか?
今年は三冠馬だったんですね、それすら知りませんでした。
この強さメジロマックイーンの隔世遺伝ですかね。余力ある王道の勝ちっぷりでしたね。
2011年12月27日 22:32
真之が甲板でも豆を齧っていたという演技は原作に沿っているのですが、戦闘中にどうだったかとなると、よく覚えていません。

司馬氏の乃木批判については、近年では否定的な見解が優勢のように思います。
みら
2011年12月29日 01:21
こんばんわ

豆食いは原作にもあったんですか~なんと。

私なんぞもよくわからないまま、日露戦争の英雄として東郷と乃木の武勇伝で教育を受けた世代ですもの、歴史認識を再検討している昨今とはいえ、みずからの命をかえりみない猛者達の勇気が、あの不利な戦いの勝因である事は事実なのでしょうから、批判はやり過ぎの様な気がします。特に乃木は学習院の総長になったのでしたか?
軍人は国民教育にも利用価値があった…と、いうことですね。

そうそう、年末時代劇は無いみたいですよね、新年に忠臣蔵やるんでしょ?
なんで新年なのかな、不思議です。
2011年12月29日 05:09
司馬氏による批判というか乃木愚将論に問題がある、という見解が近年では有力になっているように思います。
みら
2011年12月30日 22:34
こんばんわ

年末年始はのんびりTSUTAYAで『坂の上』をしよかと思っていたら、やっぱり実家に集合になってしまいました。少し残念です。こんな長期休暇を…。
とうとう江の総集編も見られずじまいです~。

中学生の姪へのお年玉は岩波国語辞典でぇす、怒るかもしれない笑。

今年もお世話になりました。
良いお年をお迎え下さいね。
2011年12月31日 04:52
どうも、ありがとうございます。来年もよろしくお願い申し上げます。

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