ネアンデルタール人と現生人類の脳構造の違い
ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)と現生人類(ホモ=サピエンス)の脳構造の違いを比較した研究(Bastir et al., 2011)の要約を読みました。ネアンデルタール人も現生人類も、人類のなかでは大型の脳を有する系統ですが、この研究では、現生人類に特有のように見える特徴として、大きな嗅球(より高度な嗅覚能力を備えていたと推測されます)・比較的広い眼窩前頭皮質・比較的大きく前方に突き出ている側頭葉極が挙げられ、両者の脳領域の再編成が異なっていることが指摘されています。
この研究では、こうした現生人類に特有のように見える特徴が、現生人類の学習・社会的能力の進化に寄与したかもしれない、と指摘されています。興味深い研究ではありますが、正直なところ、この研究で指摘されているようなネアンデルタール人と現生人類の脳構造の違いが、学習能力に影響を与えているかとなると、明らかにまだ検証不だろう、とは思います。ネアンデルタール人の絶滅と現生人類の繁栄という事実を前提とすると、つい両者の認知能力の違いを強調したくなりますが、それが妥当なのか否か、現時点ではまだ不明なところが多い、と言うべきでしょう。
参考文献:
Bastir M. et al.(2011): Evolution of the base of the brain in highly encephalized human species. Nature Communications, 2, 588.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms1593
この研究では、こうした現生人類に特有のように見える特徴が、現生人類の学習・社会的能力の進化に寄与したかもしれない、と指摘されています。興味深い研究ではありますが、正直なところ、この研究で指摘されているようなネアンデルタール人と現生人類の脳構造の違いが、学習能力に影響を与えているかとなると、明らかにまだ検証不だろう、とは思います。ネアンデルタール人の絶滅と現生人類の繁栄という事実を前提とすると、つい両者の認知能力の違いを強調したくなりますが、それが妥当なのか否か、現時点ではまだ不明なところが多い、と言うべきでしょう。
参考文献:
Bastir M. et al.(2011): Evolution of the base of the brain in highly encephalized human species. Nature Communications, 2, 588.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms1593
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