アジア旧石器協会日本大会

 今月7日付の読売新聞に、アジア旧石器協会(APA)のはじめての日本大会、アジアにおける「現代人的行動の出現と多様性」をテーマにした国際シンポジウムが、先月26日~今月1日まで、東京都の上野公園内にある国立科学博物館で開かれた、との記事が掲載されていました。旧石器時代研究では過去に例のない規模の複合国際会議とのことで、著名なポール=メラーズ博士も含む、18ヶ国の考古学・人類学・遺伝学などの専門家約200人が参加したそうです。

 アジア旧石器協会は、日本・中国・ロシア・韓国の研究者たちが2008年に設立し、日本ではその前提として、旧石器捏造事件にたいする反省がありました。旧石器捏造事件では、日本の旧石器学界が、他分野の研究者や海外の研究者との連携が不足している、と批判されたのです。こうした批判にはもっともなところがあり、近代国民国家の国境のない旧石器時代の研究にあたっては、とくに近隣地域の研究との照合が必要になる、と言えるでしょう。

 参加した研究者の方によると、
http://tsutsumi.blog.so-net.ne.jp/2011-11-30
メラーズ博士の「現代人的行動の起源:考古学的証拠と行動学的解釈」との講演では、現代人的行動の起源地がブロンボス洞窟などのあるアフリカ南部に求められた、とのことです。また、多地域進化説が強く主張された講演もあったそうです。この国際シンポジウムの成果は論文集にまとめられるとのことで、大型書店で入手できるのか分かりませんが、なんとか読んでみたいものです。

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